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旧「こどもの城」含む新まちづくり方針案 都が公開、都立中央図書館移転も

旧「こどもの城」外観(2025年2月撮影)

旧「こどもの城」外観(2025年2月撮影)

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 東京都は、青山通り沿いの旧「こどもの城」などを含む計4.5ヘクタールの都有地を活用した「神宮前五丁目地区まちづくり方針(案)」を取りまとめ、2月10日に公開した。まちづくり案には、広尾にある「都立中央図書館」の移転も含まれ、現在パブリックコメントを募っている。

国連大学(外観)

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 都は、渋谷駅~表参道をつなぐ青山通り沿いの好立地にある旧こどもの城を、複合拠点「都民の城(仮称)」として活用するため、「都民の城(仮称)改修基本計画」を2020年2月に策定。子どもをはじめ都民が交流・成長できる場として当面の間利用し、周辺都有地も合わせた活用を検討していたが、コロナ禍を経て行政ニーズの変化や経済面、効率性などの観点から2022年に計画を見送っていた。

 新たなまちづくり方針案では、都民の城(仮称)の理念を生かしながら「ポストコロナ」のまちづくりのモデルケースを目指す検討会を設置。引き続き周辺都有地との一体活用に向け、具体的な検討を進めていく。

 対象区域は、旧こどもの城(約9924平方メートル)と国連大学(約7044平方メートル)、青山病院跡地(約1万7533平方メートル)、コスモス青山(約1万646平方メートル)の計約4.5ヘクタール。うち、国連大学の区画を除く3カ所の計約3.8ヘクタールに定期借地権を設け、民間事業者に開発を委託する。

 将来像として掲げるのは、「智の創造拠点」。文化・教育施設などが集積し、国際交流やスタートアップなどの動きも活発な地域特性なども踏まえ、「一人一人が主役になる社会の創出」につながるまちづくりを目指す。子どもを含め多様な人々の交流や創造活動が、新たな文化やアイデア、個々の成長を生み、多様な過ごし方を選べる「憩いと交流の場」を想定する。

 これまでの枠組みを超えた「創造・交流図書館機能」を軸に、乳幼児から中高生まで、子どもの興味・関心に応じた多様な体験ができる場を用意。旧青山劇場の芸術文化を踏まえた劇場機能や、女性の活躍の基盤づくりを支援する機能、スタートアップ支援、アントレプレナーシップ教育などの起業支援機能などを導入。緑地や広場なども取り入れる計画。国連大学と協力・連携することで、開かれた拠点の共創にもつなげる。

 1973(昭和48)年に開館し、老朽化に伴い今回移転を計画する中央図書館は、調査研究にも役立ってきた従来の強みを生かしながら、既存の閲覧提供機能に加え、対話や学び、創作活動などの場となる新たな価値や機能を提供。本の世界を体感できる展示や、読書ができるカフェやラウンジ、ミーティングスペースなどの導入、発表の場や機会の創出などの具体例を想定する。

 劇場では、親しみやすいミュージカルや子どもも楽しめる作品などを上演するほか、演劇を体験できるスペースや、カフェ・レストランの設置、図書館との連動企画などの案を盛り込んだ。緑地・広場は、青山通り沿いに気軽に立ち寄れる空間を創出。レインガーデン(雨水浸透)や屋上緑化などグリーンインフラの導入、樹木の活用などを検討し、環境に配慮した取り組みを積極的に取り入れる方針。

 整備・運営については、民間事業者から提案を受ける想定で、官民連携の仕組みを構築。計画段階から議論を進め、整備後も時代の変化や多様化するニーズなどに応じたプログラムの提供や運営につなげていきたい考え。事業者決定から完成に至るまで、プロジェクトマネジメントチームが計画段階から事業内容を協議調整し、具体的な計画を策定。完成後の運営面についても、持続的な発展を図る。

 今後、パブリックコメントでの意見を踏まえ、「神宮前五丁目地区まちづくり方針」を策定する。

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