
渋谷駅近くの忠犬・ハチの出生地である秋田犬保存会(秋田県)の公式ぬいぐるみ「マサル」が2月17日、「セルリアンタワー東急ホテル」(渋谷区桜丘町)の「公式インフルエンサー」に任命された。
東京都による「国・地域別外国人旅行者行動特性調査」(2023年)で2年連続首位になるなど、多くの外国人旅行客が訪れている渋谷。同ホテルへの外国人観光客の宿泊は、コロナ禍前の約6割から現在は約8割に上昇し「驚異的なシェアへと広がっている」状況。この時期は国内各地へのスキーヤーの拠点として使われるなど、同ホテルが「日本の旅のベース」にもなっていることから、目的地としてより付加価値や、さまざまな街との関係性を向上させ、渋谷や日本の発信力を強化したい考え。
公式インフルエンサーに任命したマサルと取り組むのは、外国人宿泊客に日本の伝統や文化を発信するプロジェクト「EXPLORE SHIBUYA」。昨年試験的に行い、浴衣でのまち歩き、着物での茶会、和柄のネイルなどの体験を提供したところ、SNSに投稿されるなどの反響があった。今年プロジェクトを本格始動する際、「渋谷の象徴」として世界的に知られる忠犬ハチ公像のモデルとなったハチの犬種・秋田犬に目星をつけ、ハチの出生地である秋田・大館市の秋田犬保存会に協力を求めた。ぬいぐるみのマサルは、同会がロシアのフィギュアスケート選手アリーナ・ザギトワ選手に贈呈した同名の秋田犬がモデルで、同会の公式商品。
プロジェクトでは今年、秋田犬の「大先輩」であるハチに憧れて上京したマサルの渋谷での「冒険」を、ストーリー仕立てで発信する。「東京 渋谷」の文字などが入った風呂敷を背負ったマサルが、石田健佑大舘市長に見送られ渋谷に旅立つところから始まり、渋谷でハチ公像に会い、宿泊する同ホテルや渋谷の街で触れた魅力をひもといていく。
3月(予定)には、景色がおすすめのところなど、ホテル内のスポット8カ所を「SHIBUYA HACHI KEI(渋谷八景)」と名付けて紹介。4月ごろ(予定)には渋谷八景の各スポットをマサルが訪れ、渋谷で体験できることを発信する。武井隆総支配人が2023年の就任以降「驚いた」と言う場所やコトなど、「近くにいても分からないところ」などをセレクト。今後は、神社仏閣や美術館など、歴史や伝統にも触れられる「ディープな」渋谷も紹介していく計画。ソメイヨシノの開花時には、都内の花見スポット8カ所を巡る「SAKURA HACHI KEI(桜八景)」も予定。一年かけて、渋谷や東京の歳時を発信していく。インスタグラムを中心としたホテル公式SNSやホームページで、まずは英語で発信する。
プロジェクト始動に伴い、3月9日には、昨年9月に新設した「セルリアンフロア」とエグゼクティブフロア宿泊客専用のラウンジ「セルリアンラウンジ」で物販も開始。手玉を入れ「東京 渋谷」の文字入り風呂敷を背負ったマサルや、同ホテルのロゴが入った、大舘の伝統工芸品「大舘曲げわっぱ」のちょこや弁当箱などを販売する予定。
武井総支配人は「当ホテルはさまざまな旅のベースになっている。渋谷が起点となって、いろいろな旅を発信していくような展開ができれば」と意欲を見せる。渋谷区内に住んでいたこともあるという石田大舘市長は、「秋田犬の起源が秋田・大館にあることは、海外の方には伝わっていないと思う」と課題を挙げ、「渋谷は世界とのハブになれる都市。世界中から人も集まり、世界の方々も渋谷を見ている。地方、世界、マサル、それぞれとのハブになってつなげてくれるプロジェクト。情報発信を一緒に取り組むことで、三方よしの関係になれれば」と期待を込める。