渋谷公園通りのデジタルクリエーティブ創造拠点「シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)」(宇田川町)のアーティスト・フェローの成果発表イベントが1月31日、同拠点などで始まる。
HUMAN AWESOME ERROR「Super Cell」シリーズ展示風景
CCBTのコアプログラム「アート・インキュベーション」の一環で、毎年度公募して5組のクリエーターを「アーティスト・フェロー」として選考。選ばれたクリエーターは同拠点のパートナーとして、企画の具体化と発表、創作工程の公開やワークショップなどの活動を行う。上限1,000万円の制作費、スペースの提供や技術、マネジメントなどのサポートも受ける。
成果発表は市民(シビック)に開放することで「都市をより良く変える表現・探求・アクションの創造」を目指す。本年度のフェローは、アーティスト布施琳太郎さん、アートコレクティブ「HUMAN AWESOME ERROR」、現代美術作家の柴田祐輔さん+アートセンター「Token Art Center」、スペキュラティブデザインユニット「MVMNT」、アーティスト市原えつこさんの5組。会期中に5つの展覧会と32回のイベントを展開する。
CCBTでは2月11日~24日に、HUMAN AWESOME ERRORが展覧会「Super Cells Infinite」を開催。メンバーの福原志保さんが乳がんを患ったことをきっかけに2021年に始めた「Super Cell」シリーズの最終章となるプロジェクトで、「自身の身体に宿るがん細胞」と「治療・研究対象としてのがん細胞」を題材に、病院や研究機関の協力を得て病院から持ち出し培養した福原さんのがん細胞と福原さんから作られた再生免疫細胞と対峙させることに挑戦した。会場では一連のプロセスや研究者・患者のインタビュー映像を公開する。会期中にはDIYバイオのワークショップ、再生医療などの専門家を招いたトークも予定する。
柴田さん+Token Art Centerは2月21日~3月9日に、「代替」をテーマに展覧会と体験型パフォーマンスを行うプロジェクト「続・代替屋」を、千駄ヶ谷のレンタルスペース「Salon de Zuppa」(千駄ヶ谷2)で公開する。渋谷周辺の文化や歴史、近代化に伴う「食べること」の変化、高度に都市化された環境における代替食などリサーチを基にしたインスタレーション。2月28日・3月1日・2日に行う飲食体験パフォーマンス(事前申し込み・抽選制、申込期間は2月6日~14日、定員は各回8人)では、雑草を「渋谷の旬の特産野菜」として捉えたメニューなどを提供する。
MVMNTは2月28日~3月9日にCCBTで展覧会「TOKYO[UN]REAL ESTATE」を開催。東京に暮らす人たちの「ありのままの暮らし」を紹介する不動産店と位置付ける同展は、都内で暮らす人の部屋を3Dスキャンしたデータをデジタルで「内見」するコーナーや、収集したデータを活用したゲーム、マンガ、XR作品などを用意する。
市原さんは3月1日~16日に展覧会「ディストピア・ランド」をCCBTで開催する。「突然変異で一つ目に生まれたヤギ」を信仰する教団のイメージビデオ、「苦難を生き抜いた」市民たちによる民謡を踊り歌い続けるロボット、見たこともない生物など、「奇想天外な」未来の世界を表現する。
布施さんは万博に対する「感性によるアナーキズム(無政府主義)」となる新たなアートプロジェクト「パビリオン・ゼロ」を3会場で展開。展覧会、上映、雑誌制作で構成し、「日本の大地=根拠(ground)とはなにか?」を問いかける。渋谷のプラネタリウム「コスモプラネタリウム渋谷」(桜丘町)で3月15日に「観察報告:空の証言」を上映。2月に葛西臨海公園で行う展覧会「パビリオン・ゼロ:空の水族館」の内容を語りと映像でリプレーする試みとなる。観覧無料。ホームページから要事前申し込み。定員各回100人。CCBTでは「パビリオン・ゼロの資料室」と題し、3月11日~23日にリサーチ資料などを公開する。
開催時間は会場により異なる。3月31日まで。