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渋谷区、飲料事業者と自動販売機の落書き消去作業

自動販売機の落書きなどを消去する飲料事業者の社員ら

自動販売機の落書きなどを消去する飲料事業者の社員ら

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 渋谷駅周辺の自動販売機の落書きを消去する活動が1月23日に行われた。

落書きなどの消去作業をした自動販売機の前後の様子

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 昨年12月、渋谷区とアサヒ飲料、ポッカサッポロフード&ビバレッジがそれぞれ「自動販売機の落書き消去に関わる協定」を締結したことに伴う活動。渋谷駅周辺を中心に落書きが多く存在する区では、落書きが街の美観を損ね、環境・治安の悪化にもつながるとして、2021年度に「落書き対策プロジェクト」を立ち上げ。啓発用ポスターの提供や落書き対策用防犯カメラ設置の助成などに加え、条例で所有者らに原状回復の管理義務を課しているが、所有者側が費用をすることなどから思うように進んでいない。落書きの情報を区民らから電話やウェブ、LINEで集め、区職員や連携する一般社団法人「CLEAN & ART.」が落書きを消去もしてきたが、いたちごっこになっている。

 昨年度からの3年を同プロジェクトの「セカンドステージ」と位置付け、地域の関係者との連携強化を図る。所有者との間で消去作業の打診や同意を得るまでに時間がかかっていた中、「迅速」な対応につながる仕組みづくりのため、2023年から昨年にかけて、落書き対策に関わる協定を、企業と締結。JR東日本は架道橋下などを、東京電力パワーグリッド渋谷支社とNTT東日本東京南支店は電柱を対象にそれぞれ協力。昨年12月の協定は、第3弾となる。

 落書きを消す人員を増やすための取り組みとして、昨年7月には「らくがき消去サポーター事業」(以下、らくサポ)を設立。ボランティア団体や企業、学生サークル、友人グループなどを募集し、昨年12月時点で当初の想定を上回る30団体(698人)が登録(4月から再募集予定)。消去作業も行った。被害に遭った所有・管理者や「らくサポ」参加者には、区が消去溶剤やステッカーをはがすためのヘラなど用具を支給・貸与するなど、費用を負担。区職員が作業に同行して作業方法をアドバイスもしている。

 この日は、アサヒ飲料、ポッカサッポロフード&ビバレッジに加え、協定締結を予定しているコカ・コーラボトラーズジャパン、東京キリンビバレッジ、ダイドーアサヒベンディングの社員が参加。渋谷の街なかに設置されている自社の自販機の落書きなどを消し、きれいにしていった。

 コカ・コーラボトラーズジャパンのベンディング首都圏事業統括本部首都圏第一地区統括部ベンディング杉並支店営業開発職・松岡亜由美さんは「思った以上に力のいる作業で、書いたり貼ったりするのは一瞬だが、原状に戻すのは何十倍も時間がかかり大変だと感じた」と振り返り、「消してもまた書かれるので追いつかない。悲しさ、虚しさが大きい。屋外・屋内問わず、(自販機は)人が集まる場所になるという意味で、シンボルであってほしい。いろいろな人の手が関わっているのできれいに使ってほしい」と期待を込める。

 渋谷区環境政策部環境整備課長の吉澤卓哉さんは「我々だけでは追いつかないので、(さまざまな人の)目と手を借りてどんどん区内の落書きを減らして、最終的にはなくしたい。何度も消すと書かれなくなった場所もある。『区として認めない』と強く打ち出していく」と、厳しい姿勢で落書きゼロを目指す。

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