
Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月14日、ファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)と戦い89-77で勝利した。
「すごく良かった」(ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(HC))出だしは、ガード陣がインサイドへのアタックから攻撃を組み立て、得点を重ねる。しかし、スイッチ(守る選手を入れ替える動き)が増えたFE名古屋の守備にミスが続き17-18とビハインドを負う。
第2クオーター(Q)は、FE名古屋のゾーンディフェンスを攻めきれない時間が続く。ミスやリバウンドから速い展開に持ち込まれる場面が増え、機動力のあるFE名古屋の外国籍選手を抑えきれず点差が広がる。田中大貴選手やアンソニー・クレモンズ選手のレイアップシュートなどで食らいつくが、39-47で前半を折り返す。
パヴィチェヴィッチHCは「スイッチやゾーンも予測はしていて、練習の中でも準備していたが、疲労から体が動かずインスピレーションも失っていた」と指摘し、「オフェンスとディフェンスはつながっている。ミスをしたり悪いシュートを打ったりして、ディフェンスにも悪い影響をもたらし負のサイクルになっていた」と前半を振り返った。
「迷いが出るから弱さを見せるな、もう一回タフに正確にやろう」(パヴィチェヴィッチHC)と伝え臨んだ後半。序盤は点の取り合いとなるが、FE名古屋のスイッチディフェンスに、ケビン・ジョーンズ選手やジョシュ・ホーキンソン選手が身長差を生かしてインサイドで得点を挙げたほか、ボール回しから3ポイント(P)シュートも決まり出し一時2点差に詰め寄った。
63-69で迎えた最終Q。立ち上がりは一進一退の攻防が続くが、「足が動くラインアップでFE名古屋の機動力を上回るプレー、インテンシティーを上げよう」とビッグマンが1人となる選手起用を採用。攻撃面ではガードを4人同時起用し、インサイドを空けてホーキンソン選手がプレーするスペースを作るようにした。采配が当たり、FE名古屋に難しいシュートを打たせる場面が見られると同時に、ミスマッチを生かした得点や3Pシュートなどホーキンソン選手の4連続で同点に追いつく。
以降はホーキンソン選手やクレモンズ選手が1対1で得点を重ねたほか、マーフィージュニア選手が3Pシュートを沈めて流れを引き寄せた。マーフィージュニア選手は守備では、「ジャンプ力があるのは分かっているし、最後の最後まで頑張るのも自分の仕事」と少し距離がある位置からジャンプしてFE名古屋のシュートをブロックする好守も見せた。
FE名古屋の得点源であるアーロン・ヘンリー選手に前半16得点を許したが、後半は2得点に抑えた。主に田中選手とマーフィージュニア選手がマークしていたが、パヴィチェヴィッチHCは「コンタクトやディナイをせずに、簡単に動ける状態でバスケットをさせると止めるのはほぼ難しい。戦うように言い続け、周りの選手にもヘルプがいる状況をつくってディフェンスするよう声がけをした」と言う。
平均失点が約70点とリーグの中でもトップクラスで失点が少ないSR渋谷だが、この日は第3Qで70点近く失点した。マーフィージュニア選手はその点を指摘しつつ、「4Qでやっとディフェンスを頑張って抑えたことが勝ちにつながったと思う」振り返り、「コーチがどれだけ言っても、自分で変えなきゃ何も変わらない。絶対にディフェンスで抑えて、オフェンスは良いショットまで頑張ろうと選手たちでも話した」と明かす。
ハードな守備とオープンの3Pシュートを決めることを仕事と自負するマーフィージュニア選手。最終Qでの3Pシュートについては「パスが少しずれてどうすればいいかなと思ったが、毎日ルカコーチが僕に言っているチョップステップ(自分のシュートに整えるためのステップ)を踏んで、ワイドオープンで絶対に決めなきゃと思って打った」とも。
両チームは15日も戦う。