ソーシャルとカルチャーデザインの祭典「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(ソーシャルイノベーションウィーク渋谷)2024」(以下SIW)の一環として10月23日、渋谷区役所で「都市防災の現状」をテーマにトークが行われた。
2017(平成29)年の「DIVERSITY SUMMIT SHIBUYA」を前身に、2018(平成30)年に始まった同フェスは、新しいビジネスアイデアや音楽やアートなどカルチャーから生まれる都市の可能性や、ストリートから生まれる新しいカルチャー、テクノロジーを活用した未来の生活などについて発信。企業やクリエーター、アーティストらと共に「次の社会を構想する場」として構想を練り上げ、渋谷で実際に取り組む機会をつくってきた。
今年のスローガンは「さまざまな個性=色を持った一人一人の可能性をつなぎ合わせる」という意味などを込めた「Connecting Colors of Dots.」。例年の1週間から3週間に会期を延ばし、今月18日の「渋谷音楽祭」を皮切りに、街のイベントとの連携も強化しながら約100プログラムを展開する。
初のトークコンテンツとなったのは、渋谷区とパートナー企業が行政の課題解決の仕組みを構想する新カテゴリー「SIW DIALOG」の「もしもプロジェクトがみた『都市防災の現状』」。「地域コミュニティーの備えの未来形」を考えることをテーマに、SIWエグゼクティブプロデューサーの金山淳吾さん、杉浦小枝渋谷区副区長、全国労働者共済生活協同組合連合会(こくみん共済coop)の坂本隆浩常務執行役員、危機管理教育研究所の国崎信江社長が議論を展開した。
「もしもプロジェクト」はcoopが本部を置く渋谷区での地域貢献として立ち上げた取り組みで、「防災・減災」を普及啓発している。
この日は、「行政主導の都市防災コミュニケーションの限界」を議題に取り上げた。住民だけでなく、在勤者やインバウンドを含む来街者などがいる都市部で、発災時の住民のサポートは自治体が行う中、それ以外の人たちへの対応を行政が行うには限界があることから、官民連携での取り組みが必要と議論。
「平時(備える)」「発災時(守る)」「発災後(再建する)」をテーマに、日頃からのコミュニティーづくり、遊興施設が多い中での夜の避難訓練の必要性、「協働/共助」をキーワードに発災時に街なかのアパレルショップなどが被災者・帰宅困難者に商品の提供・販売ができるのか、発災時のネットワークのデジタル化、冗長化、電源の確保などについて話した。
国崎社長は「防災と言うと凝り固まった考え方や仕組み、イベントが多い中で、渋谷らしい新たな防災を見いだせる期待感がある。デザインやDX、面白く・楽しいことが自分や街を守る力になる、というプラス思考に考えることができたら、防災の分野も大きく変わる。渋谷を起点に防災のつながり、考え方が変わっていけば日本は災害に強い国になる」と期待を込めた。
SIWでは今後、代々木公園・イベント広場で開催される「ふるさと渋谷フェスティバル」と連携してブースを出展する「SIW MARKET」(11月2日・3日)、「より良い未来」につながるアクションやアイデアを表彰する新設のアワード「SIW IMPACT」(11月4日・10日)、「渋谷芸術祭」(同4日~10日)と連携する「SIW ART」などを予定。
メインカンファレンス「SIW FES」では、金山さんと同じくSIWエグゼクティブプロデューサーの長田新子さん、長谷部健渋谷区長によるオープニングセッション(同4日)、国際体操連盟会長で国際オリンピック委員会委員の渡辺守成さんらが登壇するトーク「地球温暖化とスポーツの未来」(同6日)、健全な飲酒文化を醸成し安心安全・きれいな街づくりを目指す「渋谷スマートドリンキングプロジェクト」の活動発表(今月7日)、東急プラザ原宿「ハラカド」でのポップアップバー(今月8日~10日)の出店などを予定する。
入場無料。11月10日まで。