長谷部健渋谷区長と吉住健一新宿区長が今月末に控えたハロウィーンを前に10月7日、日本外国特派員協会(千代田区)で会見を開き、路上飲酒やオーバーツーリズムなどの問題について外国人記者らの質問に応じた。
仮装した来街者らが駅周辺に集まり盛り上がりを見せる中、飲酒によるトラブルやごみの大量放置などの犯罪・迷惑行為なども社会問題となってきた渋谷エリアのハロウィーン。昨年は「街に来ないで」と呼びかけたこともあり、来街者数がピーク時の予測の約4分の1まで減ったが、新宿区に一部の人が流れ路上飲酒やごみの放置が大きな問題に。長谷部区長自ら住吉区長に電話をかけて情報を共有し、新宿区では今年6月、ハロウィーン期間に路上飲酒を禁止する条例案が区議会で可決された。
会見では、両区長が並んでハロウィーン対策やオーバーツーリズム問題について区の方針などを訴えた。記者からの質問を前に、長谷部区長は「渋谷と新宿では多くの外国人観光客によるオーバーツーリズムの問題がある」と、コロナ禍以降増え続ける外国人の来街について問題点を指摘。吉住区長も同様の問題について触れる中、「昨年、渋谷ではハロウィーン時に街に来ないでほしいと発信したことで、予測の4分の1まで来街者が減ったことで、少なからず新宿への来街者が増えたと聞いた。オーバーツーリズムに区と区の境界線はない」と続け、今後国や都への要請も交えながら問題に取り組んでいく意向を明かした。今日の午後には両区長が都庁にも赴き、両区から要請を行う。
外国人記者からは条例についての質問が挙がり、長谷部区長は「われわれだけでは難しいところもある。条例は意識啓発に近いもの。自然に減っていけばいいが、難しければ国や都に要請していくことになる」、吉住区長も「区は警察を持っていない。罰則はなく、現状は声がけでしか対応できない」と、自治体での対策の限界について言及。
一方、10月1日から改正条例が施行された渋谷区では、施行後直近のセンター街付近の週末の路上飲酒が1年前との同時期比較で250人から217人(10月4日・5日)へと減り、既に手応えもある。昨年は「歌舞伎町エリアだけで局所的に3000人もの人が来て騒ぎが広がった」(吉住区長)と言う新宿区でも、条例に基づき、区職員や警備員による計約100人体制で呼びかけを行うという。
記者からは、「渋谷区がハロウィーンイベントのホスト(主催者)になってイベントを開くことは検討しないのか」との質問も飛び、長谷部区長は「長い間、検討してきた。一度は代々木公園でも企画したことがあるが、皆、スクランブル交差点などで仮装した格好で集まりたいという希望があることなどが分かった。交通規制して路上でイベントをしても、周辺への影響や大きなコストの問題があり収益化も難しく、不可能ではないが現実的には難しい」と答えた。
渋谷区では今年も「渋谷はハロウィーンをお休みする」と強い姿勢で臨み、街なかでも「渋谷に路上でお酒を飲む文化はありません。NO DRINGKING ON THE STREET」「渋谷はハロウィーンをお休みします。NO EVENTS FOR HALLOWEEN ON SHIBUYA STREETS」などのマナー啓発メッセージを、スクランブル交差点など駅周辺で掲出・上映。職員による多言語対応によるパトロールや警察・公共交通機関との連携、ごみ対策、バーチャル空間でのイベント開催などで対策を講じていく。