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広尾に私設図書館「妄想図書室」 個人オーナーが一箱本棚に好きな本並べる

「妄想図書室 みんとしょ in 広尾」室内

「妄想図書室 みんとしょ in 広尾」室内

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 一箱分の本棚に好きな本を並べる「一箱本棚オーナー制度」で選書された本が並ぶコミュニティー型私設図書館「妄想図書室 みんとしょ in 広尾」(渋谷広尾5)が広尾にオープンして、9月24日で1カ月がたった。

「一箱本棚」にオーナーが選んだ本が並ぶ

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 2020年にオープンした「みんなの図書館さんかく」(静岡県焼津市)を皮切りに全国に広がる私設図書館ネットワーク「みんなの図書館(みんとしょ)」の新拠点としてオープン。「みんとしょ」では、商店街の空き店舗などの空間を有効活用し、本棚を持つオーナーは月額制で自分専用の「箱」にお薦めの本を置いたり、箱の中を自己PRなどに活用したりできる。広尾での拠点開設は全国84番目で、東京23区内では門前仲町に続く2拠点目となる。

 場所は、広尾散歩通り(広尾商店街)に立つ一軒家をリノベーションしたビル「CASE広尾」の2階。発起人は、ビル一棟をセルフリノベーションするなど地域創生に取り組み、総務省地域力創造アドバイザーなども務める近藤威志さんや、フリーランスで映像制作などを手がける岡村未来さんら。今年3月に大手町で開催された「みんとしょサミット」で意気投合し、クラウドファンディングなどを経てオープンにこぎ着けた。

 「まちの図書館」に冠した名前は「妄想」。岡村さんは、「こうしたら面白そうだな、こんな人になりたいなど、誰もが日々の暮らしの中でちょっとした『妄想』をしていると思う。妄想を巡らせるひとときや、その妄想をさらに広げてくれる仲間との会話は、目標に向かって努力したり、自分の本当の望みと向き合えたりする大切な機会」などと捉えた。「このプロジェクト自体が『妄想』から始まった」とも。

 一軒家をリノベーションした2階に広がる図書室は、フローリングにテーブルやソファを置き、壁一面に「一箱本棚」が並ぶ。一箱は36センチ四方で、20冊ほどの本が入る大きさ。オーナーは月額3,500円を払い本棚を自由に構成できるほか、同所で月1回自身が企画するイベントを開ける。部屋を開けるために必要なスタッフも、本棚のオーナーで分担。本を借りる人は、貸し出しカードを発行(手数料300円)し、1冊当たり1カ月間、最大3冊まで本を貸し出す。開室時間中は入室も本の閲覧も自由。

 オープンから1カ月がたち、本棚のオーナーは30人近くに上るという。ワイン好きのオーナーがワイン関連の本を集めた棚や、東京に出てきて2年目のオーナーが東京について知りたいと集めた本を並べた棚、地理好きのオーナーが暗渠(あんきょ)だけを集めた棚、警察小説だけを集めた本棚など、オーナーの個性が光る「箱」が利用者を出迎える。

 「一箱の中に絵本を1冊だけ置いたり、奈良県のオーナーは大和野菜のかるたを置いたりするなど、ディスプレーもさまざまで、自由に遊んでいただいている」と岡村さん。「『本棚を見ればその人が分かる』とも言われる。都心部という土地柄、大阪や岡山、茨城などいろいろな地域からオーナーが集まっているのも、この拠点の特徴」と話す。

 特定のテーマを設けた「テーマ本棚」も設け、誰でも1冊、本が置ける。3、4カ月ごとに変更し、現在は「始まり」がテーマ。「みんなの『妄想のタネ』を集め、多くの人と共有することで育てていけるような『みんなの図書館』を目指す」と言う。

 開室日はSNSで確認できる。

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