パリオリンピックでメダルを獲得したフェンシングの日本代表選手らが9月18日、長谷部健渋谷区長らを表敬訪問した。
渋谷区と渋谷区教育委員会は2019年に、日本フェンシング協会と相互協力に関する協定を締結。2020年度から選手らは区立小学校・中学校で講話やデモンストレーションなど出前授業を行い、児童・生徒は柔らかい剣を使ったスマートフェンシングを体験するなどしてきた。渋谷区は昨年度までふるさと納税を活用して同協会の支援を図ってきたほか、渋谷区スポーツ協会(旧渋谷ユナイテッド)でフェンシング部が設立され、区内の子どもたちを元日本代表の阪野弘和さんが指導するなどしている。
フェンシング日本代表は今大会、女子はサーブル団体とフレール団体で銅メダル、男子はエペ個人で金メダル、エペ団体で銀メダル、フルーレ団体で金メダルと、過去最高となるメダル5個を獲得した。
この日は、女子サーブル団体の江村美咲選手、福島史帆実選手、高嶋理紗選手、尾﨑世梨選手、女子フルーレ団体の上野優佳選手、東晟良(あずませら)選手、菊池小巻選手、男子エペ団体の見延和靖選手、山田優選手、古俣聖選手、男子エペ団体・個人の加納虹輝(こうき)選手、男子フルーレ団体の松山恭助選手、飯村一輝選手、青木雄介監督、日本フェンシング協会千田健一会長が来庁。職員らが拍手で出迎えた。
千田会長は「たくさん歓迎をしていただき、選手たちも大変喜んでいる。フェンシングはまだマイナーな競技だが、メジャーな競技に近づけたいと活動を続けていくのでご支援を頂戴できれば」とあいさつ。長谷部健渋谷区長は「これを機にもっとスターになってほしいと思うので、背中を押させてほしい」とエールを送り、「さらにフェンシングが広がるように頑張っていきたい」と意気込んだ。
これまでも区内の体育館を練習場として提供してきたが、現在推進している区内の小中学校の建て替え事業の中で作る体育館1カ所でフェンシングの練習ができるように調整している。「渋谷区は都心で新しい街なので、この地域のスポーツがあまりない。都心のスポーツとして僕らもチャンス。(フェンシングを)この街のスポーツとしてできたらいい」と期待も込めた。
2個のメダルを獲得した加納選手は「団体戦では金メダルを取ることができなかったので、4年後のロスで金メダル2つを目指す。実現できるようにこれからも頑張っていきたい」、上野選手は「4年後は金メダルを獲得して、また渋谷にあいさつに来られるように頑張っていきたい」と、それぞれロサンゼルス大会への意欲も見せた。
北京・ロンドンでメダルを獲得した「太田(雄貴)さんに憧れた世代」と言う飯村選手は、「今度は僕たちが憧れられる選手になったので、その自覚を持ちながら子どもたちにフェンシングの魅力を伝えていけるように、渋谷の皆さんにも協力していきたい」と宣言。選手たちは、「次はこの渋谷区からオリンピアンやメダリストが出てくることをすごく望んでいる。引き続き何かできることがあれば」(見延選手)、「こんなにも多くのメダルを獲得し、さらに多くの人にメダルを知ってもらう良い機会になったと思う。子どもたちにもっとフェンシングをしてもらい、やってみたいという方が増えれば」(尾崎選手)など、次世代の育成に積極的な姿勢を見せた。
江村選手はメダルを手に「銅メダル以上の価値をすごく感じている重みのあるメダル」話しと、「今回初めて(日本が)全種目でメダルを獲得でき、ますます期待されていく中で勝ち続けるということはすごく大変。私たちが世界のトップに立って勝ち続けることはもちろん、次世代の選手たちがどんどん強くなっていくことも大切だと思うので、これからもご協力をいただけたらうれしい」と呼びかけた。