洋菓子メーカーのコロンバン(渋谷区神宮前6)のサロン・ド・テ「コロンバン原宿サロン」(渋谷区神宮前6)が7月19日、原宿エリアに再出店する。
日本初の本格的なフランス菓子店として1924(大正13)年に創業した同社は、1967(昭和42)年に原宿・表参道沿いに旧コロンバン原宿本店サロンをオープン。今年4月にオープンした「東急プラザ原宿『ハラカド』」(以下ハラカド)一帯の再開発によるビル取り壊しに伴い、2020年に閉店していた。原宿エリアでの再出店を目指していた中、昨年4月、明治通り沿いにテイクアウト専門店「コロンバン原宿」をオープンしている。
ハラカド内への出店の権利もあったが、創業者の門倉國輝の思いもあり路面での展開を目指していたことから、同施設のテナントは他社に貸し出し場所を探していた。小澤俊文社長は今年3月に100周年を迎えたタイミングで原宿に再オープンできたことを「創業者の引き合わせなのかな」と喜ぶ。消防法で道路に椅子やテーブルを置くことが難しい中、同店は敷地内にテラス席を設けることができた。門倉が1931(昭和6)年に銀座に開いたサロン・ド・テがテラス付きだったことから「創業者の遺志を継ぐことができた」(小澤社長)とも。当初は今月3日にオープンを予定していたが、家具の到着や工事が遅れオープン日がずれた。
場所は表参道から一本入った路地。店舗面積は43.88坪。席数は店内44席、テラス12席。店頭には赤いオーニングテントを装飾するほか、銀座のサロン・ド・テを想起させる店内は、白を基調に床のじゅうたんやソファなどには赤を採用。エントランス横の壁面には旧原宿サロンで使っていた大理石を使うほか、1960年代の仏パリのコロンバンの写真を飾る。イタリア製のシャンデリア、猫足の椅子を採用するなど調度品にもこだわる。
スイーツは、バニラアイスクリームの上にマロンペーストを絞るロングセラーの「アイスモンブラン」(880円)、青森産紅玉リンゴを使う「プレミアムアップルパイ」(1,320円)などをラインアップ。「古きものを守るだけでなく、新しいものを作っていく挑戦」として限定メニューも用意。「コロンバンプリン」(770円)は、平飼い卵を使う固めの食感。ブランド初のアフタヌーンティーセット(ドリンク2杯付きで2段4,400円、3段6,600円、平日14時~16時、休日14時~16時30分)は、オペラやスワンシュー、モンテリマール、スモークサーモンキャビアのせ、ドライフルーツのカナッペなどのスイーツとセイボリーを盛る。アフタヌーンティーセットの食器は、洋食器ブランド「Noritake」のスタンドとプレートを採用する。
自社農場で農薬不使用で作る野菜を使うフードメニューは、群馬の上州牛の内もも肉を使い、表面を焼いた後に焦がしバターと一緒に真空パックして61度程度で加熱し仏ロレーヌ産の岩塩とブラックペッパーで味付ける「ローストビーフ丼」(2,200円)、自社農園のジャガイモとタマネギを使うポテトサラダ、ハム、卵の「ミックスサンドイッチ」(1,320円)などをラインアップする。想定客単価は2,500円。
生菓子やテイクアウトの半生菓子、焼き菓子は約40種類扱う。門倉が日本人向けに考案した「元祖ショートケーキ」(店内605円)、ジャマイカ産ヘビーラムのシロップを染み込ませフルーツ5種類をトッピングする「サヴァラン・オ・フリュイ」(同660円)、原宿はちみつプリン(同1,210円)、100周年記念デザイン缶のフールセック(19枚1,296円~)、原宿はちみつを使うマドレーヌ(280円)などのほか、アプリコットジャムとレモン風味の糖衣で仕上げる「ウィークエンドシトロン」(2,916円)、埼玉・加須産の白イチジク、原宿はちみつ、奥飛騨のさんしょうなど国産原料にこだわるパウンドケーキ「爽風~Cake Couleur~」(3,780円)を限定商品として用意する。
旧原宿サロンで働いていた従業員も新店舗で働く。店長は、旧原宿サロンで約15年働き副店長を務めていた青山あゆみさんが務める。「やっと復活したという思い。閉店時にお客さまが号泣するほどで、愛されている店と実感した。コロナ禍もあり店舗もなかなか見つからずに『これはだめかもしれない』と(思うこともあった)。ただ当店と当社が愛されているという思いがあったからこそ続けられた」と原宿への再出店を喜ぶ。「昔から愛していただいているお客さまには引き続き愛されるお店を目指し、まだ知られていないお客さまもいるので、新しいメニューを通して心をつかみたい。あえて懐かしさを感じさせるメニューを考えたので若者も気にかけていただけたら」と話す。
営業時間は10時~21時(日曜・祝日は20時まで)。