大型複合施設「SHIBUYA AXSH(渋谷アクシュ)」(渋谷区渋谷2)が7月8日、渋谷駅東口エリアに開業する。
渋谷ヒカリエ2階の貫通通路を表参道側に抜けた先に位置していた、シオノギ渋谷ビル、渋谷アイビスビル、渋谷東宝ビル、太陽生命渋谷ビルの4棟を一体的に立て替えた再開発事業。事業主は、塩野義製薬、南塚産業、NANZUKA、東宝、太陽生命保険、東急の6社で構成する「渋谷二丁目17地区市街地再開発組合」。
ビルの老朽化に加え、坂の途中に位置し「回遊や街歩きがしにくいこと」やオフィスビルが立ち並ぶエリアで「たまれる場所が少ない」「店舗などによるにぎわいが少ない」といった課題があった。再開発では、渋谷と表参道エリアを行き交う人をつなげるハブになり、人々や文化が集い交流することで「新たな価値が生まれる未来を創造」することを目指し、「TSUNAGI-BA」をコンセプトに掲げた。施設名は「青山(AOYAMA)」と「渋谷(SHIBUYA)」が交差(X)することと、あいさつや友好を示す「握手」の意味を込めて命名した。
敷地面積は約3462平方メートル。地上23階・地下3階で、延べ床面積は約4万4543平方メートル。地階は駐車場、地上1階~4階は商業フロア、5~23階はオフィスフロア。ファサードは「さまざまな街区をつなげる」施設コンセプトに合わせるとともに、周辺のビルとの差別化を図り、青山通り側には縦と横に加えて斜めにもサッシを配置している。地上1階~2階をつなぐ吹き抜けのアトリウムは、エスカレーターなどで両フロアをつなぐ縦動線を整備。木や、インテリアグリーンを手がける「SOLSO」(DAISHIZEN)と協働し植栽をあしらうほか、2階天井からもグリーンをつるしている。2階は渋谷ヒカリエと渋谷クロスタワーとそれぞれデッキでつながる。アトリウム・デッキの通行可能時間は5時~翌1時。
オフィスエントランスにもなる3階は、2階から続くように植栽を配し、テナント区画と共用部がシームレスにつながった空間になっているほか、仕事や休憩ができるような什器も配置。イベントなどを展開する階段状のスペース「たまり場」も設ける。
たまり場であり賑わいを生み出す広場は2カ所新設。キッチンカーやイベントも展開する渋谷駅側の「SHIBUスポット」には、シンボルツリーとして冬にはイルミネーションを展開するウラジロモミを植えている。3Dコンテンツなども流す大型の「シースルービジョン」も2階部分の外壁に設置した。表参道方面の「AOスポット」には、施設内にギャラリーなどを展開するNANZUKAがキュレーションしてパブリックアートを設置。開業時は仏Jean Julien(ジャン・ジュリアン)さんの作品「The Tank(水槽)」を設置し、今後は年に2~3回入れ替える。
地上1階~4階には15店舗が出店。ワーカーと学生をコアターゲットに多国籍な飲食店を誘致したほか、「不足していた」カフェを4店導入した。
スパイス料理店「Spice Theater」(1階、41席、11時~23時)はカレーを7種類用意し、1種類(850円)~3種類(1,250円)を選べるほか、カレー2種類とトッピングが付く「スペシャル」(1,500円)も用意。スペイン料理店「Cerveza JPN」(2階、85席、11時~23時) は、10種類飲み比べ(5,980円)などクラフトビールやたる生など50種類以上を用意するビールや、シャリュキュトリーと前菜5種盛り合わせ(1,980円)、ローストポーク(2,580円)、ランチには1人用サイズのパエリア(1,480円~)などを提供する。神奈川・葉山発イタリアン「trattoria Pizzeria 207」(2階、71席、11時~23時)は、ピザ(1,760円~)やパスタ(1,980円~)などをそろえる。5店舗目となるタイ料理店「チャオタイ」(1階、34席、11時~15時、17時~23時)は、青唐辛子やレモングラスなどのペーストにココナツミルクを入れ鉄板で焼いたチキンをのせる「チキングリーンカレー&ライス」(1,430円)などスキレットで提供する限定メニューも用意。日本料理・居酒屋「塩・酒・肴 中井商店」(2階、46席、11時~23時)は塩問屋が手がける初の飲食店で、卓上に用意するオリジナル塩10種類をつけて食べる野菜スティック(980円)、塩こうじに漬けた唐揚げ&フライドポテト(820円)などを提供する。
「ANTICO CAFFE AL AVIS」(2階、店内41席・テラス12席、8時~22時(土曜・日曜・祝日9時~)は、ブレンドコーヒー(450円~)やカフェラッテ(580円~)などのドリンク、ホウレンソウ・キノコ4種類・ベーコンをマヨネーズで和え黒ゴマ入りのバンズに挟む「スピナッチ」(600円)などのパニーニなどを提供。「タリーズコーヒー」(3階、76席、7時~21時(土曜・日曜・祝日9時~)は、仕事や作業などをできるようなブース席(4席、120分制)も用意する。沖縄発ハワイアンカフェ&ダイナー「hale’aina HOA」(地上1階、65席、11時~23時)はハワイアングルメを提供する。
同所に凱旋(がいせん)復活となるアートギャラリー「NANZUKA」(3階、2025年5月オープン)を手がけるNANZUKAは、新事業となるバー「NANZUKA TAKEN」(2階、14席、17時~翌1時、日曜・祝日休み)を出店する。
1階にはりそな銀行のATM(5時~翌1時)、コンビニエンスストア「セブンーイレブン」(7時~23時)も出店。4階の「総合健診センターヘルチェック 渋谷アクシュ」は8月、1階中華料理店「餃子の店 おけ以」は2025年にオープン予定。1階には豪発コーヒースタンド「Single O Shibuya」(出店日未定)がオープンする。
5階~23階はオフィスフロア。総賃貸面積2万4950平方メートル、基準階面積約1325平方メール。23階入居者向けの屋上スペースも設ける。入居社数は未公表だが満床で、渋谷で創業したビジョナルグループやIT系、不動産、金融などの業種が入居するという。
開業日11時オープン。総事業費は約275億円。