渋谷区と米ハワイ州ホノルル市が5月31日、姉妹都市提携に関する協定を結んだ。
海外都市交流を推進し区の課題解決と発展を重点課題に位置づける中、区と共通の課題を持つ都市と姉妹都市協定を結ぶことで国際都市として共に発展する関係を構築することを目的に海外都市との交流事業を進めている渋谷区。トルコのイスタンブール市ウスキュダル区と友好都市提携を結んでいるが、姉妹都市締結協定は初となる。
今回の協定については、「自然を保護する」「多様性を祝う」「ファッショントレンドを追求する」「世界中の人々と文化を共有する」といった共通点が多いことなどから、ホノルル市側から打診があったという。
長谷部健渋谷区長は、区内にもハワイに関する店が出店しハワイ発のパンケーキの流行やハワイ関連のイベントが開催、フラダンスを習っている人が多いなどの事象を挙げ、「協定を結ばなくても近いところにあった」と分析。昨年12月にホノルルを訪れた際に「多くの自然や青い海、緑の豊かさ。あの島を見て渋谷に足りないものがたくさんあると感じた。一方で日系の方にもお会いして渋谷に対する思いなどを聞いた」ことなどから締結を決めた。
協定では、「観光」「文化」「教育」「スポーツ」「環境」などの分野における知識や経験に関する情報共有、経済的・産業的活動の促進、人的交流、そのほか相互に協力することが必要と求められることの4項目で協力する。区では、互いの市民・区民が訪れた際の優待、地域の祭りの商品などでの商品協力、デジタル地域通貨「ハチペイ」のボランティアポイントのマイルへの換算、区立小学生の子どもたちが1人1台持っているタブレットを活用した交流、交換留学などを検討。本年度からできることを進めながら、本格的には来年度から取り組んでいく見込み。
ホノルル市は、渋谷には複数の鉄道が乗り入れていることから、ハワイの新しい鉄道システム「スカイライン」をビジネス向けに機能させるための知識を得たいと考えているほか、「思っていた以上の可能性が垣間見えてきた」と言い、交換留学や渋谷区が推進しているスタートアップに関するビジネスやスポーツ交流、互いの文化を認知させることなどを考えているという。
長谷部区長は「これから末永くこの友情を育んでいける機会が始まることにワクワクしている」と協定を喜びつつ、「この街・国の文化に触れていただきたいが、根本は民間同士の文化交流をしてお互いに理解し合って仲良くなっていくことだと思う。そういったことを促進していきたい」と話す。
ホノルル市親善訪問団のアンディ・サグさんは「お互いが持っているユニークな文化を共有しながら、最高の街にするという同じ目標に向かって刺激し合える仲間だと思っている」と提携を歓迎。「(渋谷は)最先端なイメージがあるが、区長とも話し、明治神宮など伝統文化を大事にしつつ革新的な再開発をしている『進化する街』。伝統を守ることはホノルルの人にとっては大事なこと。共通点もあるが、渋谷の開発、将来に向けてのビジョンは素晴らしく見習いながら次世代につなげていきたい」と話した。