サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が5月28日、渋谷区役所（渋谷区宇田川町）の長谷部健渋谷区長を表敬訪問し、Bリーグ2023-24シーズン終了を報告した。

表敬訪問の様子

　新たなヘッドコーチ（HC）をはじめ、ジョシュ・ホーキンソン選手、田中大貴選手などリーグ屈指の選手を迎えるなど新体制で臨んだ今季のSR渋谷は、35勝25敗で地区3位という結果でシーズンを終えた。

　2026年に始まる新トップリーグ「B.LEAGUE PREMIER（Bプレミア）」への参入に向けて1試合平均入場者数4000人が条件となっていた中、初めて有明コロシアムで3試合を行い各試合1万人近くを動員。サンロッカーズの浦長瀬正一社長は「（平均）4000人をはるかに超える観客動員数を実現できた」と報告。個人として初めてB1のチームでプレーした村越圭佑選手は「毎試合のように4000人以上のサンロッカーズファミリー（＝ファン）が集まってくれたのもすごいこと。キャリアの中で一番多い人たちの前でプレーさせてもらった。地鳴りではないが（声援などが）すごかった」と振り返った。

　1勝足りずチャンピオンシップ出場を逃す結果となったが、浦長瀬社長は「シーズンの半分くらい生みの苦しみを味わい、残りの半分で成果が出たがゲーム数が足りなかった。あと1・2試合あれば我々が…というような結果になったかもしれない」と悔しさをにじませつつ、すでにHCや選手数人の継続が発表されていることもあり、「続きということで今季以下になることはないと思うし、来年の今頃は皆笑顔でいると信じている。区の皆さん、区民の皆さん、パートナー、スポンサー各社の皆さんにご支援いただき、クラブとしては8年目で一番良いシーズンが送れたと思う。本当にどうもありがとうございました」と感謝の言葉を口にした。

　長谷部区長は「お疲れさまでした。見ている方は後半盛り上がって楽しんでいたが、惜しかったね」とねぎらいつつ、「どの辺りから『行ける』という感覚が出てきたか」を問うと、ベンドラメ礼生選手は、「今年に入って30試合終わってくらいからすごくかみ合ってきた感じがあり、それぞれが自分の仕事も理解してきた。ある時からすごい手応えを感じるようになった。やっぱりチームスポーツなんだなっていうのを改めて感じるシーズンだった」と話した。

　ベンドラメ選手はシーズン序盤を「明らかにスタイルが変わりプレータイムも長くなる中で結果を出さないといけない。周りからも期待されていたし選手もコーチ陣も勝たなきゃいけないという思いがすごく強かった分すごく空回りしていた」と振り返り、「自分もシューティングガードとしての役割が増えたが、3ポイントシュートなどスタッツ（記録）の部分で成長できたシーズンだった。ただ、コーチの作戦の中でそれぞれが自分の強みをもっと出していかないといけないと感じた。自分たちの感覚で『ここは行ける』というタイミングはあって、そこで決められなかった時にはとんでもない怒られ方をするので覚悟は必要だが（笑）、コーチ陣とたくさんぶつかりながら、より良いプレースタイル、チームを作っていかないといけない」と来季を見据える。

　「HCやメンバーもある程度変わらない状態だった」ことからチームで一番に契約を更新した一方で、6季在籍したライアン・ケリー選手や4季在籍したジェームス・マイケル・マカドゥ選手が退団する。「いつも見送る側で、この時期はいつまでも慣れないしすごく悲しい。天皇杯は優勝したが、一緒に（リーグ）チャンピオンになりたかったとすごく思っている。マック（＝マカドゥ選手）はこの1年間（けがで）全く会えなかったので、『大変だったけどありがとう』というようなメッセージのやりとりはした。それぞれの場所で素晴らしい活躍ができることを願っている」と触れた。

　村越選手も今月27日に契約継続を発表。今季は10試合約23分と出場機会に恵まれなかったが、ベンチでは常に仲間を鼓舞する姿などを見せていた。「最後の試合でコートに立った時の歓声は鳥肌が立った」と振り返りつつ、「満足するつもりは全くないしプレーさせてもらえなくて本当に悔しいが、試合に出られないから腐ったり折れたりするのは簡単だし、チームが良い方向に行くことは絶対にない。SNSで、（自分の）振る舞いのところとかを言ってくれている方がたくさんいてうれしかったし、ルカ（HC）やGMからもそういったところをまずは頑張ってほしいという話をしてもらったので、自分がやってきたことは間違いじゃなかったと強く感じることができた」と振り返る。

　来季に向けては、「求められる役割はひとひとりりあるのでまずはそこを全うした上で、試合に出ることもこだわりたい。例えば30秒でも1分でも他の選手たちが休めるよう、ローテーションに加わることができれば（仲間の）コンディションも変わってくると思うので、練習でしっかり取り組みながらHCの信頼を勝ち取ってプレータイムを得て次の役割も頑張れたら」とも。