サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が5月5日、信州ブレイブウォリアーズ(同、信州)と戦い82-59で勝利しBリーグ2023-24シーズンを締めくくった。
今季のレギュラーシーズン最終戦となったことに加え、チャンピオンシップ(CS)出場の可能性を残していたこともあり青山学院記念館(渋谷区渋谷4)今季最多となる4108人が来場した。
立ち上がりからアグレッシブな守備を仕かけてくる信州に対し、ノーマークを作って田中大貴選手の3ポイント(P)シュートで先制。津屋一球選手が体を張ってシュートを打たせなかったりベンドラメ礼生選手がドリブルに手を出してミスを誘ったり好守も見られるようになり、21-16とリードを奪う。
ジョシュ・ホーキンソン選手の身長差を生かした得点やジェフ・ギブス選手のリバウンドからの得点で第2クオーター(Q)序盤でリードを2桁に広げる。さらに攻守でリバウンドを押さえ、ギブス選手やライアン・ケリー選手がパスをカットするなど好守が続き、ベンドラメ礼生選手の3Pで一時最大21点のリードを奪った。
49-29で迎えた第3Qは立ち上がりに連続失点で点差を詰められるが、ケリー選手がミドルレンジのシュートで得点を動かし、ホーキンソン選手は信州のパスをカット、アンソニー・クレモンズ選手は体を張って信州のオフェンスファウルを誘発するなどして流れを渡さなかった。
58-45で迎えた最終Q序盤は、守備では津屋選手やギブス選手が体を張り、攻撃ではクレモンズ選手やホーキンソン選手が得点を引っ張る。同Q後半にはベンドラメ選手が3本の3Pを沈めこの日最大となる25点にリードを広げた。3本目の3Pは攻撃時間が残り1.1秒の状況から決めたが、最初はケリー選手がシュートを打つプレーを予定していたという。ボールを入れることができずベンドラメ選手がシュートすることになったが「打つだけだったので頭の中はクリアだった。良いオフェンスだったのでは」と振り返った。
この日はベンチ登録選手全員がコートに立っち、集まったファンからも大きな歓声が送られた。ホーキンソン選手も「今シーズン最高の瞬間の一つだった。あまり出場機会を得られないメンバーが、どれだけの努力をしてきたかをファンに示すことができるのはいつだって楽しい」と喜んだ。
試合には勝利したが他会場の結果によりCS出場を逃した。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、けが人が出るなどして4連敗を喫するなど「困難が多いシーズンの開幕だった」と振り返りつつ、35勝25敗で終えたことについては「スタッフ、選手がハードワークした結果。マイナスからのスタートで、少しのミスも許されないがクリエートしていかないといけない状況で選手たちはプレッシャーがあったと思う。このチームは常に集中して一緒になり、全てをささげて強い気持ちで勇気をもって戦っていた。CSに行けないことは残念に思うし、行けていたら素晴らしい戦いを見られていたと思う」と触れた。
ホーキンソン選手は「逆境に立たされたシーズンだった。平凡な年にすることは簡単だったが、誰も決して諦めずに戦ったことが一番の誇り。だから最終日までCS出場のチャンスが与えられたんだ。進めなかったのは残念だが、僕らがこれまで歩んできた道のりは新しいサンロッカーズの将来につなげるためにも、このようなシーズンを送れたことが大事。培った勢いをさらに発展させることが前に進むことになる」と振り返った。個人としては平均1.3回とB1トップのシュートブロック数や平均17得点などを記録したが、「リバウンドを含めリング周りを守ることが僕の主な役割で、ディフェンス面で大きく成長できた1年だった。得点やリバウンドなどは周りに良い選手がいて良いシステムがあったことに感謝しているし、自分の能力を信じて自信を持つことができた」と手ごたえをうかがわせた。
オフシーズンには日本代表活動も控えているが「(昨夏の)ワールドカップからあまり休んでいないので1週間くらい休んで充電・回復する必要がある。そこからトレーニングを始めて、代表チームの皆と再会しどこまで成長できるかを見せるのが楽しみ。日本のバスケットボールのレベルを上げ良い結果を残せるよう努力する」とも。
「(今とは)全く別のチームだった」とシーズン当初を振り返ったキャプテンのベンドラメ選手。「結果もついてきていなくてファンの人たちは動揺もあったと思うし、それは選手も分かっていた。でも試合や練習を重ねチームとしてできあがっていく手ごたえを感じて、すごく充実した時間を過ごしている段階でのシーズン終了なので悔しさはあるが、ファンの人たちの不安は少しでも解消できたのでは。全員が成長できたという気持ちがあると思うので、それぞれ次のステップでもこの経験を生かして力を発揮してほしい」と話した。