ファッションとアートを発信するイベント「渋谷ファッションウイーク(以下SFW)2024 春」が3月15日、渋谷駅周辺で始まり、複合文化史施設「Bunkamura」ではアーティスト西野達さんのインスタレーションなどを展開する。
渋谷駅周辺の大型商業施設が参加し、「渋谷ならではの」カルチャーを発信してきた同イベントは、2014(平成26)年3月に初開催し、今回で21回目を迎える。今年は「THINK」をテーマに、「サステナブルとは何か」を問いかけるコンテンツを展開する。
西野さんのインスタレーション「ミラーボールファニチャー」は、一部を除き改修工事のため休館中のBunkamura設地下1階の吹き抜けに展開。レストラン「ドゥ・マゴ・パリ」やラウンジの椅子やテーブル、ロッカー、コンサートホール「オーチャードホール」の譜面台など同施設内で使われてきた家具7個をつなげ、鏡を張った全長約5メートルオブジェをつるしている。ファッションやアート関連のイベントであることから、鏡を張ったバッグやデニム、美術館「Bunkamuraミュージアム」のカタログも装飾している。周囲から照明を当てており、「強めの」風が吹くと回転するほか、状況に応じてスタッフが人力で回転させることもあるという。
広さのある空間ながら大きな作品を運び込むことが難しい場所で企画した作品。西野さんは「『文化の光』と呼んでいる、反射した光が吹き抜けのありとあらゆるスペースに飛び、空間を満たすようになっている」と説明する。
レコーディングスタジオ旧「Bunkamura Studio」では、音楽家・サウンドアーティストevalaさんのインスタレーション「Sprout」を展開。ミュージシャンらが使ってきた同スタジオを一般公開するのは今回が初めてになるという。
機材など全てが撤去された「空洞的な」空間が舞台で、スタジオとして使われていたスペースには、100円均一で購入した小型のスピーカー34台を床面に設置しケーブルを這わせた。さまざまなノイズを加工し、粒子や水のように聞こえるように仕上げた音を流している。「音の精霊のようなものがやってきて、ツタや草花が張り巡り始め、新しい芽吹きのようなもの生まれている現象」を表現した。コントロールルームだった場所には、通常であればスピーカー2台、モニター1台が設置されるところ、スピーカー1台、モニター2台を設置し「簡単にはパッケージ化できない」というメッセージも込めた。
旧ブックショップではポップアップストアを展開。ファッションデザイナーや建築家、写真家などのクリエーター、アート系ブックストアなどがセレクトしたアートブックや写真集、マルチプル作品などを販売する。売り上げの一部は能登半島地震の被災地に寄付する。
公開時間は13時~20時(最終日は18時まで)。入場無料。
昨年1月に閉店し現在解体工事中の旧東急百貨店本店・東側壁面(工事仮囲い)には、デジタルクリエーティブの創造拠点「シビック・クリエイティブ・ベース東京」と共催でプロジェクションマッピング型のアート展示(18時~21時)を行っているほか、17日~19日には、渋谷駅前の忠犬ハチ公像がアーティストの中村江美さん(TOKYO MIZUHIKI)が伝統工芸「水引」を取り入れて手がけた「衣装」を着用。19日にはファッションブランド「YUIMA NAKAZATO」のファッションショー(場所非公開)を控えている。
SFWは今月24日まで。