渋谷区を拠点とするサッカークラブ「SHIBUYA CITY FC(渋谷シティFC)」が3月14日、2024年シーズンの新体制を発表した。
PLAY NEWが運営する同クラブは、渋谷区からJリーグ参入を目指している。Jリーグ1部(J1)から数えて7部に当たる東京都社会人サッカーリーグ1部(都1部)に所属。今季18チームが属し総当たり戦を行い、上位3チームがトーナメント戦の関東社会人サッカー大会に出場。同大会で決勝に進出した2チームが関東サッカーリーグ2部に昇格する。渋谷シティFCは3月24日に初戦を迎える予定で、4月29日などには渋谷区スポーツセンターでのホーム試合も予定している。
昨季は都1部リーグを優勝し、関東社会人サッカー大会に進出するも準決勝で敗退。「初めて膝から崩れ落ちる経験をした」(PLAY NEW小泉翔社長)。昇格に向け今季は、オファーした16選手中15選手と昨季の主力選手と契約更新すると同時に10選手を新たに獲得した。監督は昨季年に引き続き元Jリーガーの増嶋竜也さんが務める。
昨季は「攻撃的なサッカー」を目指しながらも総得点はリーグ3位の43点で、失点がリーグ1位の10点と堅い守備が光った。今季は「昨年の倍の得点を取りたい」(増嶋監督)と考えるなか、Jリーグで歴代13位となる通算109得点を挙げている渡邉千真(かずま)選手(J3・松本山雅FC)やフィジカルが強く「シュートがうまい」(執行役員で編成担当の田中裕介さん)宮本拓弥選手(J3・ヴァンラーレ八戸)、昨季からの課題の一つ「ミッドフィルダーからのパスの供給」(同)への期待を込めて小沼樹輝(たつき)選手(東海社会人サッカーリーグ 1部・FC刈谷)らを獲得。昨季は「走れること」を優先し平均24.9歳と若い世代が多かったこともあり、トーナメント戦で「本来の力を発揮できなかった」ことからJリーグから4選手、その他上位カテゴリーから6選手と「大舞台」でのプレー経験や実績のある選手を集めた。平均年齢は26歳。
渡邉選手はJリーグのクラブからのオファーが無いなか、1月に元チームメートでもある田中さんと話したことをきっかけに入団。「知っている人がいるのは大きかったが、何よりクラブの将来性がとてもあり力になりたいと思った」と言う。練習に参加して約1カ月となるが、「Jクラブと比べると芝生の問題や練習場も転々とするしスタッフも少ないなど、小さな問題はあるが、皆純粋にサッカー好きだし、働きながらでもサッカーを頑張っている仲間を見ると刺激になるし、自分もサッカーができる喜びを感じている」と話す。「J(リーグのクラブ)からの選手も複数いて、何としてでも昇格したいというクラブの表れだと思うので、その期待を背負って結果を出さないといけない。簡単にはいかないだろうと覚悟は持ってやってきている。そういうのも含めて楽しんでやりたい」と意欲を見せる。
ゴールキーパーの木村壮宏選手は渋谷出身で、SNSなどで渋谷シティFCのことは知っていたなか、「環境を変えようと思った時に、地元でJリーグを目指しているチームがあるというのはモチベーションにはなった。翔さんと話して本当に上を目指せるチームだと思った」と入団を決めたと言う。「地元のために頑張るというモチベーションをピッチで表現するので、その姿を見てもらえたら」と話す。
増嶋監督は「ディフェンスのべースはできたので、より攻撃的なところを目指していきたい。個の能力が高い選手がさらに増えたので、チーム戦術もあるが、個人戦術の部分で面白さは去年以上にあると思う」と新チームをアピール。新体制始動から約3カ月。「今年は質と強度を上げようと練習からかなり細かく要求している。選手は少し戸惑っている部分もあるが、成果に出たら。他のチームの補強もすごいなかで、昇格戦に出場することを第一に考えたい」と話す。キャプテンは在籍2季目の土田直輝選手が新任。「渋谷シティにとってもそうだが、僕にとってもラストチャンスというくらいの気持ち、勝負の年だと思っている。実力ある選手が来てくれて、注目されているのも感じている。良い状態だし、今年はいけるという気持ちが去年より強い。あとは僕たち現場の仕事。信じてくださいと言いたい」と力を込める。
PLAY NEWの山内一樹会長は、今季設立10周年を迎えることもあり「なんとしても悲願の関東リーグ昇格を果たしたい」と力を込め、「本気の補強をして、クラブとしても予算を達成して何とかこの10周年を終えたい。ここまで準備をしたが、そう簡単に目標を果たせるものじゃない。渋谷シティFCファミリー・コミュニティーの力総出で昇格に向けて一緒に戦ってほしい」と呼びかける。