ホテル「HOTEL GRAPHY（ホテルグラフィー）渋谷」（渋谷区東1、TEL 050-1808-5092）が2月29日、渋谷・東の複合施設「渋谷ブリッジ（SHIBUYA BRIDGE）」（渋谷区東1）に開業する。

ビリヤードなどを用意する共用ラウンジ

　神南・フィンガーアベニュー沿いのカプセルホテル「The Millennials（ザ・ミレニアルズ）Shibuya」（神南1）など、ミレニアル～Z世代のレジャー利用をメインターゲットにしたホテル6ブランド11棟（同ホテルを除く）を展開するグローバルエージェンツ（東1）の新店。渋谷区内では2軒目の施設となる。

　コロナ禍もあり同社にとって4年ぶりの出店で、渋谷にはかねて本社を構えていることもあり、同社の山崎剛社長は「（コロナ禍で）苦しんだ分、開業できたことや、（かねて）本社も構えているのでふさわしい場所」と喜びを表現する。

　同所には施設開業の2018（平成30）年から昨年9月まで別の運営会社によるホテル「MUSTARD HOTEL （マスタードホテル）SHIBUYA」が営業していた。契約満了に伴う閉店が決まっていたなか、出店の打診があったという。マスタードホテルもホステルに近い業態であったことから、同社の中でもホステルの要素を取り入れたブランドである「ホテルグラフィー」を出店した。

　施設の1階～5階、7階を使う延べ床面積は2100.70平方メートル。線路跡地という立地を生かし、施設内には「レール（＝2本のライン）」をキービジュアルとしてデザインに取り入れた。各フロアの天井にはレールのように照明を2本のラインで設置。各フロアの壁面には、東急などから提供を受けた、かつて同所を走っていた電車の写真や以前の渋谷の写真などを展示。一部客室内には渋谷を描いたアートも飾る。

　客室（8平方メートル～18平方メートル）は、ユニットバスが付いた「スーペリアダブル」（幅120センチのセミダブルベッド、同140センチのダブルベッド、31室）、施設内の共同シャワールームを使う室内に水回りを設備していない「ダブル」（35室）、ドミトリー（8室×6ベッド＝48ベッド）の計74室を用意。スリッパやタオル、歯ブラシ、冷蔵庫は各部屋に用意するほか、スーペリアダブル・ダブルにはケトルやマグカップも備える。廊下はモノトーン調だが、室内にはゴッホの油絵をイメージした壁紙や真ちゅう色のフレームを装飾している。

　1階フロント横の「アメニティーバー」にはボディータオル、かみそり、耳栓、パジャマなども用意するほか、充電ケーブルなどのモバイル周辺機器、トランプやオセロなどのゲーム、靴磨きセットやワインクーラー、スチーマーヘアアイロンなどの美容用品、ヨガマットやダンベルなどのワークアウト品など、常時100種類以上のレンタルアイテムもそろえる。同フロアに併設するショップでは、バスで採用している「プロバンシア」のボディーソープやシャンプー（各1,200円）、ホテルグラフィーオリジナルのマグカップ（1,100円）などを販売する。

　同社のホテルはパブリックスペースを特徴とし、同ホテル内7階には24時間利用可能な宿泊者専用のビリヤードなどを用意するラウンジと、喫煙スペースも設けるテラスを併設する。同フロアではコーヒーや紅茶類を用意するほか、同社の全ホテル共通のサービスとして連日17時～18時には1階で宿泊者向けに無料でビールを提供している。

　チェックインやレンタルアイテムの注文など全てモバイル（ブラウザ）で対応し、スタッフとのチャットもできる。宿泊客と同世代のスタッフが「等身大のホスピタリティーで行うサービス」を意識しているほか、コンシェルジュは置かず「キュレーター」として店をリコメンドするなど宿泊客のサポートを図る。

　1階にはダイニング「Graphic Grill & Bar（グラフィックグリルアンドバー）」を併設。グリルを中心としたモダンアメリカンを提供し、モーニングには宿泊者優先のセミセルフの朝食ビュッフェを用意する。営業時間は7時～23時。水曜定休。

　大規模な再開発が進む渋谷駅周辺と、昨年10月に新たな複合施設「フォレストゲート代官山」が開業するなどした代官山の間に位置し、東急グループがまちづくりを「推進しきれていない」ことから、同ホテルがエリアマネジメントの役割も担う。渋谷川沿いの遊歩道「渋谷リバーストリート」沿いでのマルシェやポップアップ企画の不定期開催、ライトアップ演出など渋谷ブリッジまでのにぎわいづくりをしていく。

　現在の予約動向としては、1人または2人が中心で、7割が海外からの予約となっている。宿泊料金は6,000円台～2万円台（現在の参考価格はドミトリー＝6,000円台～、ダブル＝1万円～1万2,000円程度、スーペリアダブル＝1万8,000円程度）。チェックイン15時、チェックアウト11時。同ホテル出店に併せて、同社のオフィスは神南から同施設6階に移転した。