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渋谷区が24年度予算案発表 校舎建て替えなど「未来への投資」注力

スタジアムのようなデザインを計画する広尾中学校のイメージ

スタジアムのようなデザインを計画する広尾中学校のイメージ

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 渋谷区が2月5日、2024年度の当初予算案を発表した。

神南小学校の基本計画の外観イメージ

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 財政規模は、一般会計は総額1,223億1,900万円で、対前年度比8.6%増という過去最大の予算規模。特別会計と合わせた総額は約1,735億8,000万円となる。

 来年度の予算案では「未来への投資」に注力する同区。その中でも「力強く推進」したいと考える、区立小中学校の建て替えや、新たな学びの提供などを行う「未来の学校プロジェクト」には17億3,400万円を計上する。

 建て替えは区立小中学校22校を対象に、再来年度から順次工事に着手し2041年度までに完了する見込み。来年度は、広尾中学校・松濤中学校・神南小学校の実施設計や鉢山中学校や原宿外苑中学校の基本計画策定、青山病院跡地に設置する仮設校舎「青山キャンパス(仮称)」の建設工事などを予定。

 広尾中学校はスタジアムのような開放的なデザインを計画し、校舎内中央は吹き抜けを利用したラーニングコモンズを設置。休館中の渋谷図書館も移設し、近隣の大学との連携なども図ることで地域の学びの拠点に位置付ける。

 住宅街に位置する松濤中学校は、上部をセットバックすることで近隣との距離感やプライバシーを確保。目線や日当たりに配慮した建物を計画し、校舎内は谷をイメージした吹き抜けを設ける。地域の「コミュニティー拠点」として、セキュリティーを確保しながら校庭や体育館をはじめ、家庭科室、音楽室なども「積極的に」開放していく予定。

 渋谷区役所に隣接する神南小学校は、バルコニーやテラス、屋上などの屋外空間を活用。教室から直接グラウンドにアクセスできる構造にするほか、6年間の「成長に合わせた」ラーニングコモンズを各階に設置することで教室外にも学びの場を広げ、校舎全体を使った「アクティブラーニング」を取り入れる。

 代々木中学校は「森の学校」をコンセプトに、学校から代々木西原公園球技場までを遊歩道でつなぎ緑を「連続させる」。校舎と校庭は約50メートルのピロティ―でつなぎ、運動会や部活動の観戦に使えるようにするほか、災害時には地域の防災拠点として、避難所の炊き出しなどに活用する。

 新校舎の整備に先駆けて、2025年度開設の仮設校舎「青山キャンパス(仮称)」では「新しい学び」として、AI(人工知能)型の教材、ICT環境の活用などを予定。さらに、それらを新校舎でも「速やかに」取り入れるため、来年度から、区立小中学校で午後の時間を使って道徳や英語、「総合的な学習の時間」などを行う探求の時間となる「シブヤ未来科」が始まる。

 子育てや教育関連では、物価高などを踏まえて来年度から区立小中学校の給食費を全額補助すると同時に、給食費単価の昨年度比135%アップや、服部栄養専門学校と協働したメニュー開発の継続など給食の「グレードアップ」も行う(予算額は7億4,300万円)。

 福祉関連では、原宿で「神宮前三丁目障がい者施設」(渋谷区神宮前3)の建設が進んでおり、9月に完工、12月に開設を予定。地下1階~地上4階建てで、延べ面積は3752.44平方メートル。診療所やプール、会議室、カフェを併設する。

 知的障がい児者の支援は同施設に隣接する場所にある「はぁとぴあ原宿」で行ってきたが、「神宮前三丁目障がい者施設」では重症心身障がい児者や医療的ケアを必要とする身体障がい児者が主な利用対象者となる。1~5歳を対象とした発達支援や6歳~18歳を対象とした放課後などのデイサービス、6歳以上の短期入所、18歳以上の生活介護、機能訓練などを提供予定。「地域の企業などと連携することや、カフェでは障がいのある方に働いてほしいと考えている。障がいに対するイメージを払しょくするる場になれば」(長谷部健渋谷区長)。予算額は17億8,900万円。

 歳入の大半を占める特別区税はふるさと納税に伴う減収が年々拡大しており、来年度は約50億円の減収を見込んでいる。2020年から区独自のふるさと納税を始め、「産物がない」なかで飲食店の利用券、アニメやアイドルとコラボレーションした返礼品など、「区の特色を生かした」コト消費・体験型の返礼品を用意。寄付額は来年度は約20億円を見込むなど年々増えてはいるが減収額に追いついていないことから「まだまだ」と長谷部渋谷区長。

 「人気が高い」のは、セルリアンタワー東急ホテルのアフタヌーンティーや資生堂パーラーの食事券など飲食関連だと言い、来年度は約20億円の寄付を目指し、返礼品の追加開発を図ると同時に、区独自の地域通貨「ハチペイ」のポイントも返礼品で用意していることから、「一つの軸にしたい」と考える。ページのリニューアルなど認知度向上に向けた広報に取り組んでいくため、9億6,900万円の予算を計上する。

 整備から約40年がたち痛みや老朽化から再整備の検討が進められてきた約2.6キロに及ぶ玉川上水旧水路緑道の再整備(14億5,400万円)は、来年度、笹塚緑道・大山緑道・幡ヶ谷緑道の工事に着手。

 中学校の部活動を地域移行する「シブヤ部活動改革プロジェクト」を中心としたスポーツ・文化活動の地域密着型コミュニティーの創出(3億9,600万円)、パトロールなど迷惑路上飲酒ゼロ・安心安全なまちづくりの推進(3億5,900万円)、マイナンバー連携機能を実装するなど区の防災アプリのリニューアル(1,300万円)、米ハワイ州ホノルル市、ペルーリマ市ミラフローレス区と姉妹都市協定を結ぶなど海外都市との交流事業(1,800万円)なども計上する。

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