Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が1月31日、富山グラウジーズ(同、富山)と対戦し70-60で勝利した。
ジョシュ・ホーキンソン選手が欠場したこの日。攻撃では、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(HC)が「スイッチキラー」と評するライアン・ケリー選手が身長差を突いて積極的に得点を狙うが、成功率が伸び悩みリバウンドから速攻を許すなど立ち上がりはビハインドを負う。それでも、途中出場したジェフ・ギブス選手はサイズ面で劣りながらも簡単にシュートを打たせない守備を見せ、津屋一球選手は「(ボールを)簡単に持たせないこと」を一つの役割と臨みパスをカットする好守から得点を挙げるなどして、14-13と逆転する。
しかし第2クオーター(Q)も約7分で4点しか奪えず、一時10点のリードを許す。それでも、終盤にアキ・チェンバース選手、ベンドラメ礼生選手、田中大貴選手と連続で3ポイント(P)シュートが決まると同時に、「コーチがボール出しの所もプレッシャーをかけろと常に言っている」と、津屋選手が富山のスローインをでミスを誘う好守を見せ30-32で前半を折り返した。
同Qの攻撃についてパヴィチェヴィッチHCは、スイッチする(=守る選手を入れ替える)富山の守備に「対応が良くなかった」と指摘。そこで、スイッチして身長差ができたインサイドのギブス選手にボールを入れるよう指示。富山はダブルチーム(1人を2人で守る守備)をしてきたことから、ギブス選手からのパスでボールを動かすと同時に、ガード陣のミスマッチも生かして1対1を仕かけるようシフトチェンジ。それが功を奏して連続の3Pにつながった。
後半は、富山のミスからチェンバース選手がこの日3本目となる3Pを決めるなど立ち上がりで一歩前に出る。ミスからの失点もあり勢いに乗り切れないが、津屋選手やケリー選手など立て続けに富山のパスをカット。永吉佑也選手は身長差のある選手に対して体を張るなど守備で我慢。ケリー選手のダンクで場内を沸かせ47-42で迎えた最終Q。富山のインサイドを中心とした攻撃に苦戦するが、永吉選手の3Pやスピードを生かしたクレモンズ選手のレイアップなどの得点、ベンドラメ選手は積極的にリバウンドに飛び込むなどしてつなぐ。終盤も富山のミスを誘う堅守が見られ、クレモンズ選手がフリースロー6本を確実に決めて勝ち切った。
身長200センチを超す選手がケリー選手1人のSR渋谷に対し富山は3人、外国籍選手が同時にコートに立てるのは2人までというリーグの規定もあり、守備面ではミスマッチが生まれやすかったこの日。207センチの富山イヴァン・ブバ選手は188センチのギブス選手に「簡単にやられないよう戦う」ことを伝え守らせたほか、201センチながらアタック力のある富山ノヴァー・ガドソン選手は「ガードとして扱い」田中選手や津屋選手をマークに付かせるなどしたというパヴィチェヴィッチHC。「多くのものが要求されるゲームで、導くことが難しかったが、そこを把握してもらいながらゲームを進めた」と話した。
攻撃面では「ボールが動いていなかった」とアシストが11本にとどまった点を反省点に挙げつつ、後半を中心にケリー選手がリバウンドから得点を挙げるシーンが目立ち、最終的にはオフェンスリバウンドが17本と伸びた点については、「(富山が)スイッチしたからこそ生まれた状況。どこを使うのか探しながら作り上げた結果」と振り返った。
「ディフェンスから流れを変えなくてはいけないと、全員で意識を統一できた」ことを勝因に挙げた津屋選手。「2回くらい流れを変えられた」と好守に手応えをうかがわせ、「思い切り打つことしか考えていなかった」と9得点を挙げた。同じポジションのチェンバース選手の好プレーも見られたが、「アキさんを見て勉強にはなるが、プレータイムを争う相手なので、僕は勝手に意識している。負けたくない気持ちが相乗効果につながっているのかな」と話した。チームはホーム11連勝となった。「ホームで勝つことは気持ちいいし、(ファンを含めた)皆で勝ったと感じる。止まらずに勝って更新したい」と話した。