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原宿の穏田神社が節分企画 「退治したい鬼」「招き入れたい福」募る

境内に設ける掲示板

境内に設ける掲示板

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 渋谷と原宿の間に位置する「穏田神社」(渋谷区神宮前5)が現在、節分企画を展開している。

たまった付せんはノートにまとめている

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 参拝客から「心の中にいる退治したい鬼」と「招き入れたい福」を募る企画。境内の掲示板に、鬼とおたふくのイラストを掲出し、変えたいことや目標などを付せんに書いて貼ると、宮司の船田睦子さんがコメントを返すという取り組み。

 コロナ禍の影響で節分祭を中止していたなか、参拝客とのコミュニケーションの一環として2022年から展開している同企画。初年度にメディアで取り上げられたこともあり、遠方から足を運ぶ人なども増えているといい、船田さんは「地域の神社ができる、私ならではの施策。認知されてきている感じはする」と手応えをうかがわせる。

 「退治したい鬼」には、「病気を治したい」「怠け癖を治したい」「残業が嫌」などネガティブ志向からの脱却を願う声が例年多いという。「招き入れたい福」には、「新しい趣味を見つけたい」「好きな人に出会いたい」という声もあるなか自分自身や家族の健康を願う声や、「自分を大切にしたい」という声が多いという。「悩みや目標を書く行為自体が大事で、何かやり遂げたいことを後押しするきっかけや、他の人の励みにもなると思う。そういうエネルギーの循環が、神社でやることによる特別性や意義を感じている」と船田さんは考える。

 返すコメントはかねて実体験を基に「その人の気持ちに寄り添えるか」を考えているという。先代である父の病気を機に家業を継いで5年。自身が「心と体のバランスを崩した経験」などから、「身をもってまずは心の声を聞いて満たしてあげること、そうじゃないと人に優しくできないと感じたので、(企画は同じだが)返事の言葉は今まで以上に自分の言葉で書いている」と言う。時には強い言葉で書くこともあり、「人間臭い」と言われることもあるというが、自身とは異なる業種の人たちと話したことを機に「『宮司・神職らしさ』を切り離しても私は宮司なのは変わらないと気付かされた。救われている人がいるなら」と続ける。

 「いろいろな人がいろいろな思いを書いている。皆さんどうにかこうにか、しなやかに頑張って生きようとしている。自分を責めたり無理したりせず、掲示板を見たり、実際に書いてみたりすることで勇気が湧くこともある。私も全力でコメントを返しているので、考えて悩んでいる方がいたら、ふらっと立ち寄っていただけたら」と呼びかける。節分当日は、「節分祭」(15時30分~)を行い、「赤鬼」と「青鬼」に向かって豆を投げる豆まきも行う。「地域の小さな神社でも楽しみがあることを感じてもらえたら」とも。

 神社に行く理由として「近くにある」「有名なもの・ことがある」「大きい」などが挙げられるが、「年中行事や伝統を伝えていくことも大事だが、発信力・インフルエンサー力は神社界にとって必要だと痛感した。理念に基づいてこういうこともやっていることがより多くの方、特にこれからを担う世代に伝わってほしい。人にファンが付くことで、事業を展開した時に響きやすいと気が付いたので、より気軽に来てもらえるように少しでも思いを伝えらえるリアルな発信の場を作れたら。数ある選択肢の中で『穏田神社に行きたい』と思ってもらえる施策は今後も考えていかなければいけない」と意欲を見せる。

 節分企画は2月3日まで。同社のSNSでもハッシュタグ「#退治したい鬼」「#招き入れたい福」で、コメントを受け付けている。

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