Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が12月31日、群馬クレインサンダーズ(同、群馬)を89対60で下し2023年最後の試合を勝利で飾った。
ルーズボールを追いかけ仲間につないだジョシュ・ホーキンソン選手
前日の試合を勝利し、「連勝することが大事」と選手たちが口をそろえて迎えたこの日。「昨日以上に群馬が強く来ることは分かっていた。それ以上に自分たちが強く入ることが大事で、それをコートで表現したかった」と田中大貴選手が序盤から得点を重ねるなど気持ちを見せる。第1クオーター(Q)残り8秒からの攻撃では、コートの端から端までボールを運び、空中で守備をかわしてレイアップシュートを決め場内を沸かせた。ベンドラメ礼生選手は前日の試合後「積極的に手を出して嫌な気持ちでプレーさせたい」と話していた通り、群馬のパスをカットする好守を見せた。
24-18で迎えた第2Qは、ジョシュ・ホーキンソン選手が群馬のダンクシュートを阻止した直後に「しっかり走ることは自分の中で決めているプレー」と最前線に走り、群馬のファウルを誘発するなど好守から速攻につなげる場面も見られたが、「アグレッシブさを増した群馬の守備に良い反応ができなかった」(ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(HC))と攻撃が停滞。36-34で折り返した。
同Qについて田中選手は「ベンチから出た選手がプレーしている時間帯は遂行力が少し落ちてしまう。アキ(・チェンバース)、盛實(海翔)、(小島)元基も役割は絶対にあって準備しているのも知っている。誰が出てもできるように練習をやっているつもりなので、チームでもっと成長したい」と触れた。
ハーフタイムに「もう一回フィジカルレベルを上げてプレーしよう。負けていたらだめだ」(パヴィチェヴィッチHC)と話し臨んだ後半。立ち上がりからアンソニー・クレモンズ選手やライアン・ケリー選手が好守を見せる。ホーキンソン選手は前半得点を挙げられていなかったが「守備を読んでシュートを選んでいこうと思っていた。自信を保って打った」と連続で3ポイント(P)シュートを沈めるなどして、64-49とリードを広げることに成功した。
最終Q中盤には、守備でミスが出るも「来るのを予測した」ホーキンソン選手がカバーして群馬のパスをカット。転がったボールを「仲間のために頑張ってボールを自分たちのものにしよう」と追いかけ、コート外に出るぎりぎりの所で仲間につなぐハッスルプレーも見せた。
同Q終盤に3Pを決めた津屋選手は、直前にHCから起点となる役割に指示された。「当たり前に礼生さんがやると思っていた。(指示されて)ボールが来たら絶対打とうと思っていた」と振り返る。3Pを得意とする選手だがシーズン開幕当初はドライブ(ドリブルでリングに向かうプレー)を狙うよう指示されていた。「今は逆に打てって言ってくれている。『決めれば何も言われない』と思い切って打つようにしている」と話す。ドライブから得点をアシストするパスも見せたが、「大貴さんや礼生さん、元基さんがうまいプレーで、常に勉強させてもらっているのがやっと試合でできた」とも。
守備では群馬の得点源であるトレイ・ジョーンズ選手らを守備。昨季対戦した際には守り切れずに苦杯をなめたが、「前回よりもたぶん守れたはず、成長した!」と手ごたえをうかがわせた。「コーチが求める守り方を少しのズレもなくやり通す大貴さんを見て、自分もその通りにやるなどした。スイッチ(守る選手を替えること)をしても(仲間と)コミュニケーションを取ったことが良かった」とも。
今季は開幕4連敗するなど苦しい時期を過ごしてきたが、この日の勝利で勝率が5割に到達した。パヴィチェヴィッチHCは「ポジティブな『0』に戻った」と表現し、「皆が一生懸命努力や練習をしてきたからこその結果。もう一度謙虚にやるべきことをやって、自分たちから幸運をつかみに行かないといけない」と気を引き締める。
2月に日本国籍を取得し、夏にはワールドカップ(W杯)で注目を集めるなどしたホーキンソン選手は「素晴らしく特別な1年になった」と今年を振り返り、「ファンの皆さんが今まで以上に注目をしてくれて、自分の可能性を見てもらう機会が増えた。W杯以降もBリーグも見に来てくれていて、今までとは違う光景をたくさん見た。2024年もさらに輝く年にできるようにやっていきたい」と意欲をみせた。1月にヘルニアの手術をするなどした田中選手は「断片的に見るといろいろなことが起こったが、自分自身は割と冷静。リーグでトップのレベルを維持し続けられてはいないが、その力はあると思っている。もう少しで手術して1年記念だし、どんどん状態も上がってくると思うのでもっと良いプレーが見せられると思う」とも。