写真展「ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷 あなたのまわりは旅のヒントにあふれている」が11月25日、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)9階のホールで始まる。
ホテルの写真などが並ぶ「CHECK IN, PLEASE」エリア
ウェス・アンダーソンさんはアメリカの映画監督。1994年「アンソニーのハッピー・モーテル」で長編がデビューし、2001年「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」でアカデミー賞脚本賞にノミネート。ベルリン国際映画祭で銀熊賞 (審査員グランプリ)を受賞した「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)などで知られる。作品の特徴として、「パステルカラー」「シンメトリー(左右対称)な構図」などが挙げられる。
アンダーソン監督の世界を表現したような風景写真を展示する同展は、188万人以上のフォロワーがいるインスタグラムアカウント「Accidentally Wes Anderson(AWA)」から発展した展覧会。AWAは、同監督の映画に出てきそうな場所を撮影し投稿するコミュニティーで、2017年、米NY在住のワリーさんとアマンダさんのコーヴァル夫妻が旅行計画のバケットリスト(死ぬまでにしたい100のこと)のために開設。展覧会は昨年韓国で開催され、今年4月~4月には寺田倉庫で日本初開催した。
場内には世界各地で撮影されて約300点を展示。「ナガシマスパーランド」のジェットコースターを撮影した写真など「過去の体験を呼び起こすような情景」をセレクトした「OPEN YOUR ALBUM」、仏「アングレーム映像音響高校」などピンクとターコイズブルーの写真だけを集めた「パレット・セレクション」など。新幹線E5系など乗り物の写真を展示する「MIND THE GAP」では、鉄道などに乗っているかのような感覚を味わえる映像も流し、1882年に建てられたホテル(2016年に閉業)で同アカウントに最初に投稿された写真でもあるスイス「ホテル・ベルヴェデーレ」など、ホテルの写真を集める「CHECK IN, PLEASE」には、「グランド・ブダペスト・ホテル」の世界観を表現したフロントを模した一角も用意する。
望遠鏡や探検船「ロアール・アムンセン号」の写真などを並べる「The Seventh Continent」は、南極をテーマにした新エリア。ペンギンの姿も捉えたウィーンケ島の写真、避難場所となる小屋を写したダモイ・ポイントと呼ばれる場所の写真などが並ぶ。
場内は写真・動画共に撮影可能で、マリーズ・チョコレート工場の「カカオ」「ミルク」「シュガー」の文字が書かれたピンク色の円筒形貯蔵タンクの写真などは、フォトスポットにもなるよう大きく貼り出している。
開催に合わせてコーヴァル夫妻が来日。同アカウントでは視覚的な要素に加え「歴史的な背景やそこにまつわる人々の物語」を重視していると言い、その一つとして、遊び途中のジグソーパズルがテーブルに置かれている米ワシントンのフェリー船内の座席を写した一枚を紹介。ジグソーパズルはそのフェリーの船長と船員が船に乗っている最中に遊んでいたというが、次第に一般の乗客も遊ぶようになり、中にはジグソーパズルを持ち込む人も見られるようになるなどしてコミュニティーが生まれたという。
10日間滞在した南極についてアマンダさんは「おそらく人生最大の冒険になったのでは。なかなかない体験、見られない風景を見たのでそれをこの展覧会で共有できることを大変うれしく思う」と話した。ワリーさんは展覧会を「世界を周遊してもらえる」と表現し、「地元のコミュニティーに参加してもらうことがAWAの方針でもあるので、いろいろな写真を楽しんでほしい」と呼びかけた。
開催時間は11時~19時(土曜は20時まで)。入場料は、一般=2,200円、大学生=1,600円、高校生以下=1,100円。予約優先。12月28日まで。