テニスプレーヤーの伊達公子さん、長谷部健渋谷区長らが11月9日、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)9階で開かれている都市フェス「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA(ソーシャルイノベーションウィーク渋谷、SIW)2023」のカンファレンスに登壇し、「次世代が活躍するまちづくり」について語った。
伊達さんは、渋谷区が学校の部活動を地域クラブへと移行してスポーツ・文化活動の充実を図るプロジェクト「渋谷ユナイテッド」にも指導者として携わる。「(渋谷ユナイテッドの活動は)3年目になる。全国の子どもたちと触れ合う機会が多く、都市部では自ら表現する子が少ない印象があった中で、とてもアクティブで素直な子どもたちが多いなという印象」と笑顔を見せる場面もあった。
トークは「Next Generations(ネクストジェネレーションズ)」をテーマに進行。長谷部区長は「行政ができることは、ビジョンに向かって場や環境を整えること。子どもたちが世界に羽ばたくために、競技でも使うハードコートを用意するのが我々の役割」と話し、今後20年をめどに区内の学校施設を順次建て替える計画の中にハードコートを含む構想も披露。伊達さんも「子どもたちの成長には環境を整えることが大事。渋谷は世界中のいろいろな人が混じり合うところ。その中でネクストジェネレーションが自分のスタイルを作り上げ、テニスを通してできることが広がっていけば」と続けた。
一般社団法人「渋谷区観光協会」代表理事でSIWエグゼクティブプロデューサーの金山淳吾さんが「渋谷区は小さく土地の狭さというディスアドバンテージがあるが、どういう意識が必要か」と投げかけると、伊達さんは手のひらでスポンジボールを返球し合うテニス型ゲーム「テニピン」や、アメリカで流行している「ピックルボール」を例に挙げ、「ネットを挟んで気軽にできるので、スペースも要らず渋谷の街にもマッチする」と提案。「パリではエッフェル塔の下にカーペットを敷いてスポーツイベントをしている。渋谷でもそうしたことができればワクワクするしエンターテインメント性もあり、ファッション・音楽の街で『スポーツ』も確立できるのでは」と続けた。
伊達さんは世界ランキング50位内に入った元選手らに声をかけて立ち上げた団体「Japan Women’s Tennis Top50 Club(JWT50)」の活動にも力を入れる。「日本から世界へといかに早く次世代の女子テニス選手を送り込むかという活動。できれば『渋谷から世界に』という環境を整備したい。自分が世界で得た学びをもとに環境を整えるアカデミーをつくりたい」という思いも明かした。
今月6日から渋谷ヒカリエ9階のホールをメイン会場に開かれているSIWは、渋谷区やパートナー企業、学生らが多様なアイデアや価値観の下、カンファレンスや体験プログラムなどを通じて交流。9日は「シブヤデイ」と題して渋谷に焦点を当て、まちづくりや教育、スポーツなどの視点から議論とアイデアを交わす。観覧無料(一部有料)。
SIWは今月12日まで。