渋谷区公認の都市連動型メタバース「バーチャル渋谷」に参画するKDDIの新サービスの記者会見が10月24日に開かれ、登壇した長谷部健渋谷区長が、迫るハロウィーンを前に「渋谷の街でパーティーせず、バーチャル空間で楽しんで」と呼びかけた。
KDDIは、「バーチャル渋谷」とは別に今年3月に立ち上げた、バーチャルの渋谷などを舞台にしたメタバース「αU(アルファユー)」で始まった新たなサービスを渋谷キャスト(渋谷区渋谷1)で発表。会見の後半で長谷部区長が登壇し、毎年仮装した人や見物人、外国人観光客らがスクランブル交差点などの駅周辺に集まることで路上飲酒やごみの放置、暴走車両などの迷惑・犯罪行為が社会問題にもなっている渋谷のハロウィーンの「正しい楽しみ方」を改めて訴えた。
コロナ禍の2020年に、バーチャル渋谷で初開催された「バーチャルハロウィーン」は、実際に来街せずに楽しめる渋谷のハロウィーン企画として今年で4年目を迎える。KDDI事業創造本部の中馬和彦副本部長は「ステイホーム中だった初回はすごい数のトラフィックが来て、サーバーが落ちてしまったほど盛況だった。翌年以降も着実に広まり、今は秋の風物詩になった」とこれまでを振り返り、初回と同じテーマ「ステイバーチャル」を掲げた今年、「今こそがバーチャル渋谷の出番」と力を込めた。
イベントは、バーチャル渋谷をはじめ、αUやユーチューブなど複数のプラットフォームで展開。この日はイベントの出演アーティストも発表し、「過去最大」という25イベントや30組以上のアーティスト出演を明らかにした。27日には、「スピードワゴン」井戸田潤さんやユーチューバーらがカラオケ企画に登場するほか、女性グループ「新しい学校のリーダーズ」は過去のライブ映像を公開し、専用のフォトスポットも設ける。29日には、小野坂昌也さん、悠木碧さんら人気声優がトークやゲーム、ファンとの記念撮影などを行うイベントを行い、31日は女性アイドルグループ「FRUITS ZIPPER」のライブをユーチューブで公開する。
会見にVTR出演した、新しい学校のリーダーズとFRUITS ZIPPERのメンバーは、それぞれのイベント内容について告知したうえで、「今年のハロウィーンは、渋谷に行かないでバーチャルで楽しんで。ステイバーチャル!」と呼びかけた。
「今年は、区として異例の形になるが『渋谷の街はハロウィーンのパーティー会場ではない』というメッセージを発信している」と冒頭で切り出した長谷部区長は「ここ数年は仮装していない人が酒を飲んで暴れるという状況も目に付くようになり、区としても何とかしてうまく解決できないかという中、KDDIからバーチャル渋谷の話を頂き、実現につながった」と、解決策の一つとしてバーチャル空間の「渋谷」での遊び方を提案。中馬副本部長も「デジタルやバーチャルが受け皿になれたら」と話した。