クラフトビアバー「ビビビ。」(渋谷区代官山町)が9月29日、代官山・キャッスルストリート沿いにオープンした。
オーナーは、広報や新規事業の支援、コミュニティづくりなどを中心に活動する日比谷尚武(ひびや・なおたけ)さんと、「日本クラフトビール紀行」などの著書を持つフリーライターの友清哲(ともきよ・さとし)さん。日比谷さんは恵比寿や渋谷などでロックバーを経営していた経験を持ち、現在も渋谷フクラス(渋谷区道玄坂1)1階の観光案内所「Shibuya-san」で交流バー「Shibuya BALCON」を主宰するなど、「お酒×コミュニティづくり」に精通する。友清さんも、全国各地の酒蔵やブリュワリーを取材するなか、酒好きが高じて池尻大橋でバーを経営した経験を持ち、両者共に酒との縁は尽きない。
5年ほど前、日比谷さんが経営していた渋谷のロックバーに友清さんが来店したのをきっかけに意気投合。以来、全国の酒蔵などを巡る旅に出かけるなどして親交を深め、「いつか2人でお店をやりたい」と思いを語り合っていたという。念願がかない、代官山駅から徒歩4分、アパレルや飲食店が集積するキャッスルストリート沿いに出店が決まった。
バーのコンセプトは、「クラフトビールづくりに情熱を注ぐ作り手のストーリーを発信していくこと」。全国各地に点在する小規模のマイクロブリュワリーを、100以上取材してきた友清さんの知識とネットワーク、場づくりのプロフェッショナルとして活動する日比谷さんのスキルを生かし、全国の作り手の「思い(ストーリー)」を発信する「地方創生の拠点」のようなビアバーを目指していきたいという。
店舗の大きさは約8坪、定員は20人。席はなく、スタンディング形式の狭小店舗ながら、ビールのタップ数(注ぎ口)は「10口」をそろえ、北海道から沖縄まで、友清さんが過去に取材したブリュワリーから直接仕入れて、毎日10種のビールを選出し提供。「ビール嫌いを置き去りにしなくない」と言い、入荷状況にもよるが10種のうち、1、2種はフルーツエールやシードルなども加えていきたいという。開店記念として、東京・昭島にあるイサナブルーイングとの企画で、「晩柑(ばんかん)」と「珈琲」を副原料に作った香り豊かな「ビビビ。」のオリジナルビールも製造し販売する(在庫がなくなり次第、販売終了)。
壁面の大型ディスプレーには「TODAY’S TAP」として毎日変わるビールメニューリストを表示。「元アメリカ空軍爆弾処理班で、津軽弁を話すアメリカ人がつくるビール…」「東京から長野に移住したデザイナーが、四季の野草を使ったビール…」など、QRコードを通じて、ビールに込めた各作り手のストーリーを手元のスマートフォンで読むこともできる。友清さんは「作り手の背景を知れば、酒はもっとおいしくなる」と力を込める。
メニューは、毎日変わる10種のビールのみで、今後はフードの提供も予定する。価格はグラス800~1,000円、パイント1,100~1,250円(以上、税別)。支払いは注文時のキャッシュ・オン形式、キャッシュレス(電子マネーのみ、QRコード決済も導入予定)。
今後について、日比谷さんは「僕らの仲間が集まる地域のスナックにはしたくない。全国でビールづくりをしている人々が、ここを使って発信してほしいし、あくまでもビールと作り手が主役になれる場所にしていきたい」という。友清さんも「ささやかな目標だが、『代官山にそういうお店があるらしいぞ』と全国の作り手に伝わり、向こうから『取材してもらえませんか?』とアプローチがきたら最高」と期待を寄せる。
営業時間は18~23時(土曜・日曜・祝日は15時~)。