食べる

渋谷・鶯谷「かつお食堂」がリニューアル 店主かつおちゃんが新たな一歩

かつお節を手削りする店主のかつおちゃん

かつお節を手削りする店主のかつおちゃん

  • 36

  •  

 間借り営業から常設店を構えて4年――「私の前世はカツオ」と公言する「かつおちゃん」こと永松真依さんが手削りするかつお節を使ったメニューを提供する「かつお食堂」(渋谷区鴬谷町)が10月2日、リニューアルオープンした。

リニューアルしたメインの「かつお食堂ごはん」

[広告]

 ヒノキ製のコの字型カウンターを「舞台」に、永松さんがねじり鉢巻き姿で削るかつお節が話題を呼び、海外からも客が訪れる人気店に成長した。20代の頃、帰郷した祖母の家で「一つ一つのしぐさがすてきで、優しさの中に芯の強さを感じてかっこよかった」と、削り器でかつお節を削る祖母の姿に感銘を受けたのが「かつお道」の始まり。2017(平成29)年に宮益坂上近くのバーで間借り営業を始め、その後、鶯谷エリアにあるビルの地下1階に念願の店を構えた。

 約8.5坪の店内には、カウンターに加え、お参りもできる「鰹(かつお)神社」も。注文を受けてから永松さんが削り出したかつお節を、たっぷり盛り付けて出す「かつおめしごはん」を看板メニューに据えてきた。コロナ禍は、ラップにくるんだ手削りのかつお節と手紙を添えた弁当を売り、乗り切った。2021年と2022年には「ミシュランガイド東京」のビブグルマンも獲得。日本全国からも客足が途絶えず、順調と言える中で、リニューアルを決断した。

 リニューアルではメニューを一新。「大人も子どもも かつおワンダーランド」をテーマに、メインの「かつお食堂ごはん」(みそ汁・他1品付き、1,650円)は、これまでのご飯が隠れるほどの量のふわふわとした削り節だけでなく、「いろいろな食感」を楽しめる削り節を玄米にのせて提供する。「かつおの伝道師」として永松さんが当初から抱いてきた「暮らしの中でおいしいかつお節で喜んでほしい」という思いに原点回帰して考案したメニューだという。

 ご飯にかかるのは、かつお節を削る際に出る粉と、削り器の歯を出すことで削れるガリガリとした食感のもの、一般的なイメージでもあるふわふわの削り節の3種類。「削り節職人のようなイメージや『かつおちゃんしか削れない』というイメージを脱したかった」と、リニュールでは来店客も削り器でかつお節を削れるようにし、ご飯には客自ら削ったかつお節もかけてもらう。

 調味料は手作りの醤(ひしお)や淡路島産の食塩を用意。セットには、かつおだしのみそ汁と、だしガラを使った一品を添える。生卵や「ふわふわ手削り鰹節」(以上330円)、お代わりのご飯(並220円、大330円)、梅干し(220円)などの追加メニューや、「かつおのおなかの唐揚げ」(660円)などもそろえる。

 「かつお節を削り始めた時には作ることや食べてもらうことが純粋に楽しかった。いつからか背伸びしている自分を感じてもいた」と、「かつおちゃん」になってからの11年間を振り返る永松さん。2月には「鰹節を手削りする 美味(おい)しい暮らし」(主婦と生活社)を出版するなど、転機になる出来事も重なった。

 かつお節やそれを巡る旅を通して「農家や作り手など、いろいろな出会いがあった」と言い、これまでに知り合った農家や作家から仕入れた野菜や器なども新たに取り入れ、細部にわたり「自分が良いと思うもの」に変えた。

 今後は、自身をイラストでキャラクター化した「かつおちゃん」を「もっと泳がせたい」という夢や、来店客に削り方を覚えてもらいレベルアップするごとに記念品を用意する計画など、アイデアは尽きない。かつお節を削ることは、「正解がないのもいいところ。世の中の大切なことも詰まっている」と笑顔を見せる。

 営業時間は8時30分~13時ごろ(なくなり次第終了)。営業日はSNSで知らせる。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース