アパレルメーカーのアダストリア(渋谷区渋谷2)が、今季からBリーグの審判員ウエアを手がける。
同社は、「niko and...(ニコアンド)」「LOWRYS FARM(ローリーズファーム)」など女性向けを中心としたライフスタイルアパレルブランドを展開。Bリーグでは、茨城で創業した企業として「茨城ロボッツ」のメインスポンサーを2017(平成29)年から務め一部ユニホームのデザイン、グッズを製作しているほか、昨年茨木で開催されたBリーグオールスターの冠スポンサーを務めるなどしている。スポーツ面ではさらに、Bリーグからはアルバルク東京やサンロッカーズ渋谷が参画する東京のスポーツチーム・団体で構成する「TOKYO UNITE」のアパレルアイテムのデザイン・製作、プロ野球「西武ライオンズ」のスタッフユニホームの製作なども手がけている。
同社として「次のステージ」と位置付ける今回の取り組み。Bリーグではこれまで米チャンピオンなど、スポーツウエアのメーカーがサプライしてきた審判のウエア。アパレル企業が手がけることは「業界でも初、日本初の事例になる」と同社取締役の福田泰己さん。Bリーグの島田慎二チェアマンは「スポーツメーカーが一般的な中で、今回を機にこれがスタンダードになれば」と期待を込める。
バスケットボールは、さまざまなスポーツの中でも「レフェリーの存在感が大きい」(島田チェアマン)と考えるなか、2026年には新カテゴリーを設けるなど「革新」を進めているBリーグは、その一環でプロフェッショナル審判の増員も図っている。さらに今夏盛り上がりを見せたワールドカップの3位決定戦で、Bリーグも担当する日本バスケットボール協会(JBA)公認プロフェッショナルレフェリーの一人、加藤誉樹さんが審判を務めたこともあり、島田チェアマンは「レフェリーへの注目度は高まるので、ファッショナブルなウエアをまとうのは非常にうれしい」と話す。
今回、「ニコアンド」の都市型スポーツウエア「NUMERALS(ヌメラルズ)」の商品をベースにシャツ、パンツ、ジャケットに加え、時計や得点の管理などを行うテーブルオフィシャルズのジャケットとポロシャツ、ジャケットも製作した。
審判は1試合で「4キロ程度走っている」(加藤さん)ことや、シグナルを出すことから動きやすさを重視したストレッチ性や速乾性、1シーズン60回程度するという洗濯に耐える耐久性にも配慮。デザインは、審判という役割として選手・観客からの「信頼感も大事」(島田チェアマン)であることからスタイリッシュさを意識。パンツとシャツの袖には「冷静さ」などを表現し汗も目立ちにくい黒を採用。シャツの前面と背面にはグレーを配し、Bリーグが発足当初から掲げている3つの使命から着想を得たトライアングル(三角)模様を透かしデザインで入れた。Bリーグを担当する審判の意見を取り入れながら作ったと言い、「サイジングが全く違うので、そこに対応する苦労はあった」(福田さん)。
Bリーグを担当するJBA公認プロフェッショナルレフェリーの漆間大吾さんは、「オリジナルデザインを入れていただいたこのウエアに恥じないよう、『審判ってかっこいいんだ』という風に思っていただけるようにしっかりパフォーマンスしていきたい」と意気込む。
契約期間は2年。今回のデザインは10月に開幕する2023-24シーズンに着用する。