渋谷区内の公衆トイレ舞台にしたヴィム・ヴェンダース(Wim Wenders)監督の映画「PERFECT DAYS」が12月に日本公開されることが決まった。
役所広司さん演じるトイレの清掃員・平山を主人公に「日々の小さな揺らぎ」を追った作品。カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、役所さんが最優秀男優賞を受賞して注目を集めた。そのほか、柄本時生さん、中野有紗さん、石川さゆりさんらも出演している。
作品内に登場するトイレは、渋谷区内の公衆トイレ。日本財団(港区)が主導し、区内の17カ所の公衆トイレを、デザイン・クリエーティブの力を活用し「誰もが快適に使用できる」ように改修した取り組み「THE TOKYO TOLET」が作品の題材となっている。プロジェクトは2020年8月に着手し、建築家の安藤忠雄さんや伊東豊雄さん、隈研吾さん、小林淳子さん、インテリアデザイナーの片山正通さん、藤本壮介さんをはじめ、アートディレクターの佐藤可士和さん、ファッションディレクターNIGOさん、プロダクトデザイナーのマーク・ニューソンさんら、多方面で活躍する16人が参画。今年3月に全箇所が完成した。
映画は、同プロジェクト発案者でファーストリテイリングの取締役である柳井康治さんとクリエーティブディレクターの高崎卓馬さんが、「好きな監督」であることや「東京への愛情」などを兼ねそろえていることから、ヴェンダース監督に直接依頼。「アートプロジェクト」と位置付け、「PERFECT DAYS」を核に、撮影のプロセスでヴェンダース監督が撮影した写真を使った「フォトノベル(写真小説)」、ヴェンダース監督が作るインスタレーションの3作品を制作する予定となっている。
12月22日から、渋谷にも劇場を構えるTOHOシネマズほかでロードショー公開。10月24日から東京国際映画祭で先行上映を予定している。