デニムなどの残反を「ピース」として、ブランドやアーティスト、学生らがアップサイクルした作品を展示するイベント「ピース de ミライ-Revalue Fashion Project-」が8月29日、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)8階「8/COURT」で始まった。
2022年春夏シーズンからテーマの一つとしてSDGsを発信してきた「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッション・ウィーク東京=東京コレクション)」の一環として開催。2024年春夏の東コレは同27日に開幕し、現在、メイン会場の渋谷ヒカリエ、表参道ヒルズ(神宮前4)を中心に日本人デザイナーらがランウェーなどで新作を披露している。
伊勢丹新宿店が主導する形で昨春お披露目されたアップサイクルプロジェクト「デニム de ミライ」を前身とする今回の企画は、デニムからさらに素材の幅を広げ、「ピース de ミライ」に名称を変えた。前回同様の「リーバイス」のユーズドストックデニムに加え、英テキスタイルブランド「リバティ・ファブリックス」とデンマークのテキスタイルメーカー「クヴァドラ」、フィンランドのデザインハウス「マリメッコ」、国内からも有数の織物産地・尾州産の布と、残反のバリエーションが広がった。
ブランドやアーティストとのコラボーレションをはじめ、産学連携として、文化服装学院、エスモード・東京校、同パリ校、多摩美術大学の学生らが参加したのも、今回からの取り組み。参加した4校の学生らに素材を提供し、デニムを繊細に何層にも重ねたラッフルドレスや、リバティなどのテキスタイルを生かしながらもカッティングやレイヤードで個性を持たせたワンピースなど30作品以上が集まった。
リーバイスのデニムはほかに、「ゴールデングース」のスニーカーや、「シャルマントサック」のツイードバッグなどにも使用。リバティは、倉庫の中に保管されていたという約900のバリエーションの残反の中から素材を選び、デザイナーらがオーダーシャツや小物などにアップサイクル。小花柄をはじめとする生地は、デニムと組み合わせたスツールや、コート専門ブランド「サンヨーコート」のライナー部分、ロンドン在住のアーティストユニットが手がけた一点物の人形「BOBBY DAZZLER(ボビー・ダズラー)」にも使われ、形を変え登場した。
尾州産の布は今回「ツイード」に焦点を当て、「THE HAIR BAR TOKYO」のヘアアクセサリーや「嘉門工芸」の茶道具などにアップサイクル。インテリアなどにも使われている分厚く硬めなクヴァドラの生地は、「キジマタカユキ」の帽子や、「チカキサダ」のビスチェなどに生まれ変わった。「マリメッコ」からは、本国ヘルシンキで廃棄される布を供給してもらい、アーティストや多摩美の学生らが作品を制作したという。
三越伊勢丹新宿婦人・子供商品部のファッションディレクター神谷将太さんは「(前回は)普段百貨店で買い物をしない若い客層や学生のお客さまにも興味を持ってもらえた」とプロジェクトの反響を感じたと言い、SDGsを前面に打ち出す手法ではなく「ファッションが最上位概念。ファッションの高揚感を楽しんでもらうためのものづくりの手段の一つとして提案している。自社だけではなく業界全体にこのノウハウが広がり垣根を超えていきたい」と話す。
同会場では販売せず、10月11日~24日、伊勢丹新宿店本館と本館・メンズ館、日本橋三越、銀座三越などで展示・販売する。
営業時間は11時~20時(最終日は17時まで)。8月30日まで。