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渋谷・青山通りに店を構え95年 老舗「山田帽子店」が閉店へ

青山通り沿いに店を構える「山田帽子店」(外観)

青山通り沿いに店を構える「山田帽子店」(外観)

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 渋谷・青山通りの老舗帽子店「山田帽子店」(渋谷区渋谷1、TEL 03-3400-5883)が8月末で閉店する。

かつて販売していた学帽(左=国士舘大学、右=青山学院大学)

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 オープンは1928(昭和3)年12月。時代に合わせ、かつては軍帽や学帽、近代以降は布施明さんら著名ミュージシャンのステージ用ハットなども手がけてきた帽子の名店が、95年の歴史に幕を閉じる。宮益坂上からすぐの青山通り沿いの角地に構える、黄色い看板が目印の店は1982(昭和57)に建てられたもの。「初代」店舗は、青山通りが現在の形に整備される以前、道の向かいにあり、現在の店は建て替えなどを経て6つ目の建物に当たるという。

 バックヤードを含め16坪の店内には、オリジナルを中心に、壁一面に帽子が並ぶ。価格は2,000円台から、高いもので5万円台のものまでそろえる。紳士のソフト帽は、ウサギ毛皮を使った高級品をはじめ、よりカジュアルにも使えるウールのものや、通常よりつばが短いものも。「2代目だった父が、自らかぶりたいと思ってつばの短い帽子を作ったのが始まり。あっという間に人気に火がつき、原宿などの店も同じ形を作り始めた」と話すのは、3代目店主の山田輝夫さん。

 「レディスの帽子も、かつては1サイズしか展開がなかった。お客さまによって当然頭のサイズも違うので、SSからLLまで展開を増やした。当店がその先駆者だったと聞いている」と、先々代から続く店で売り出してきた数々の商品を振り返る。「バブル時に英国ブランドの『カンゴール』の帽子を作ったのも当店が最初。当時の女性アイドルが気に入ってくれて人気商品になった」。「KANGOL」のラベルが付いたベレー帽は現在も、店の入り口近くに大切に飾っている。

 「あと5年たてば創業100年になる。常連客からは『やめないで』と引き留められる」とも言うが、コロナ禍の影響は大きかった。「帽子メーカーがつぶれ、職人がいなくなった。納得のいく商品を仕入れられないのであれば、店を続けることはできない」と閉店を判断した。「ここ最近は特に、街も人も変わった。外国人観光客に合わせたり、若者向けにSNSなどでウケる店づくりをしたりすることはしたくない」ときっぱり。

 引退後は「旅行に行ったり、虫取りや鉛筆を使った遊びなどを若い世代の親に教えてあげたりして楽しみたい」と笑顔を見せる。「この辺りの古くからの歴史を直接知っている最後の世代が既に80~90代になっている。街の記録を残す役も担えたら」とも。

 店では現在、閉店セールを行っている。8月末まで営業を続ける予定だが、「在庫の残り次第」だという。

 営業時間は10時~17時。日曜定休。

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