和だしと蒸し野菜のスパイスキーマカレーを提供する間借りカレー店「狛犬hug me(こまいぬハグミー)」が渋谷駅近くのバー「One Trick Pony(ワントリックポニー)」(渋谷区道玄坂1、TEL 03-6455-2558)に移転オープンして、7月10日で1カ月がたった。
独学でカレー作りを始めた店主のかわのけいすけさんが、2022年6月に目黒のバーを間借りして始めたカレー店。かわのさんはテレビ番組などの演出・プロデュースなどで活躍する傍ら、セカンドキャリアを考えるなか、「いつか、こども食堂を開きたい」という夢の一歩として同店を営む。飲食店や野菜市場などで働き修業や研究を重ね、現在「二足のわらじ」でカレーのランチ営業を続けている。店名の「狛犬」は、かわのさんの趣味が神社仏閣巡りであることから付けたという。
カレーは、ご飯の上にポークキーマとせいろで蒸した季節の野菜をのせ、スパイスを利かせたサラサラとしたスープ状のチキンカレーをかける「山椒(さんしょう)ポークキーマとチキンカレーと蒸し野菜」(1,500円)がメイン。食材や調味料は、あごだしとかけ合わせる有機野菜のだしや、南淡路島「2525ファーム」のタマネギ、しょうゆ「日田醤油」(大分)とみりん「九重櫻」(愛知)、山本勝之助商店の「ぶどう山椒」(和歌山)などを使う。
目黒時代も店を訪れたというフードライターの男性は「さっぱりと食べられて和風な印象のカレー。蒸し野菜をのせてシンプルに『引き算』の味付け」と評す。野菜は「おまかせ」の5種で、ニンジンやジャガイモ、ズッキーニ、オクラなどは蒸してのせ、トマトの酢漬けも添える。メインのカレーに加え、鶏キーマと蒸し野菜にだし汁をかけて食べる「出汁(だし)ぶっかけ鶏キーマと蒸し野菜」(1,300円)、辛口の「ココナッツ鶏キーマ」(1,000円)も隔週で提供する。自家製のクラフトコーラやラッシー(各500円)などのドリンクも用意。
移転後について、「目黒では1日35食ぐらいだったのが渋谷では40食以上、多い日は65食出ることもある」(かわのさん)と言い、客足も伸びている。移転前は厨房(ちゅうぼう)を1人で切り盛りしてきたが、スタッフが1人増え、提供までの時間が短くなった。「調理経験のあるプロのスタッフなので、強力な助っ人」と笑顔を見せる。客は人気バンドのメンバーやジャズミュージシャンなどを含め、口コミで知った人たちが常連になることも多いという。
間借りしているバーはカウンター12席、テーブル8席に加えテラス席もある。入居する「第2大番ビル」が京王井の頭線渋谷駅改札から徒歩1分の場所にあることも決め手の一つだったと言うが、ビルの出入り口が複数あり、階段や通路も入り組んでいるため、5階にある同店には「全然たどり着けないと言われることが多い」と、思わぬところで苦戦を強いられている。看板を増やすなど工夫も凝らすものの、「どうしても上手に説明できない。『ハズレの階段』が2カ所ある。迷路のようだが、何とか頑張って来てもらえれば」と呼びかける。
営業時間は11時~15時30分。日曜・月曜・木曜定休。