楽器メーカー「FENDER(フェンダー)」の世界初旗艦店「FENDER FLAGSHIP TOKYO」(渋谷区神宮前1)が6月30日、原宿・明治通りにオープンした。経営はフェンダーミュージック。
同メーカーは1946年にアメリカで創業し、主にエレクトリックギターやアンプを展開。多くのプロミュージシャンも使っていることで知られ、日本でも40年以上取り扱いがある。米フェンダー ミュージカル インストゥルメンツ コーポレーションのアンディ・ムーニーCEOによると、フェンダーの売り上げはコロナ禍直前と比べて現在は倍の約10億円。コロナ禍で「3000万人がギターを始めたとみている」なかで、「その10%でも生涯続けてくれる人がいれば小売り額にして300億ドルを向こう10年間で見込める」と分析。「小売りにおいて世界的に見て最も影響のある街」と判断して原宿・表参道エリアに初の旗艦店を出店した。フェンダーミュージックの社長でアジアパシフィック統括エドワード・コールさんは、さまざまなブランドが旗艦店を出店していることや、訪日外国人から日本は「顧客対応とサービスが世界一と評価されている」ことを出店理由に挙げた。
明治通り沿いに位置する店舗の延べ床面積は地下1階~地上3階の4フロア計323.19坪。店舗デザインは著名建築家ユニット「クライン ダイサム アーキテクツ」が担当し、「ミュージックLOVERと楽器」をコンセプトに仕上げた。1階天井の照明やベンチはギター「ストラトキャスター」のフォルムをかたどるように配置するほか、壁面にはボディの素材にも使われるアッシュ材を採用。ピック型の什器を置くなど「音楽を感じられる」空間に仕上げている。
地下1階は木を基調にした空間で、アコースティックギターやウクレレ、2019年から展開するエレキギターとアコースティックギターを合わせたギターとなる「アコスタソニックギター」を扱う。同ブランドのギターの修理やリペアなどに関する相談を受け付けるサービスカウンターも設けている。
同フロアには、カリフォルニアのコーヒーブランド「VERVE COFFEE ROASTERS」が監修するブランド初のオリジナルカフェを併設。席数は約20席。同店オリジナルブレンドの豆を使うコールドブリュー(680円)やコーヒーハイボール(1,100円)、オリジナルレモネード(780円)などのドリンク、ハムとチーズなどのサンドイッチ(930円)、チョコレートブラウニー(880円)などの軽食も提供する。一部はテイクアウトにも対応し、店内では同階と1階のみ飲食可能となっている。
地上1階はギターやベース、アーティストのシグネチャーモデル、アクセサリー、新商品などを展開。オープンと同時に展開を始める新しい「F ISFOR FENDER」は、「自分自身にインスピレーションを与えてくれる洋服」をコンセプトにした日本製のアパレルブランド。デビューとなる今季はTシャツ(1万2,100円ほか)、靴下(2,970円)、バギーパンツ(3万9,600円)などをラインアップ。
高校生など若年層で楽器を弾く女性が多いことから雑貨類も企画。米本国でも展開するシリコンコースター(550円)などキッチンウエアに加え、ストラトキャスターとブランドロゴをあしらうマスキングテープ(440円)、A5サイズノート(880円)などを用意。「Fender TOKYO」の文字をデザインしたTシャツ(4,400円)などのアパレルは、ECでも扱わない土産需要も意識した同店限定の商品となる。
地上2階はアメリカ製と日本製を中心としたエレキギター・ベースを扱うほか、30種類以上を展開するアンプも展開。地上1・2階のベンチには小型ポータブルアンプを備え、ヘッドホンを装着することで周囲を気にすることなく試奏できるようにするほか、2階には防音室を用意しギター・ベース、アンプの音を試せるようにする。
商品の近くには商品名と共にQRコードを掲出。読み込むと同ブランドのECサイトにつながり、色展開や使われている素材など詳細を確認できる。
黒を基調にした最上階は、ブランド「最上級」のギターを作る工房「Fender Custom Shop」の専門フロア。1713年製のバイオリン「ストラディヴァリウス」に着想を受けたギター(429万円)など、職人「マスタービルダー」が手作業で作るギターなど90本をそろえるほか、パーツや色などを選べるカスタムオーダー(約70万円~、為替により変動)も受け付ける部屋も用意。同フロアの利用は予約制。
営業時間は11時~20時。