アルバルク東京(以下、A東京)の小酒部泰暉(たいき)選手らが6月29日、長谷部健渋谷区長を表敬訪問しBリーグ2022-23シーズン終了を報告した。
Bリーグ開幕初年度は国立代々木第二体育館(渋谷区神南2)をホームアリーナに戦っていたA東京だが、同体育館の改修工事があり以降は立川市内のアリーナを活用していた。今季から渋谷に戻り、国立代々木競技場第一体育館をホームアリーナに戦っている。
昨季までの会場から約3倍動員できる会場となり「楽しみもワクワク感もあり、『本当に(動員)大丈夫?』というのはあった」(クラブを運営するトヨタアルバルク東京の林邦彦社長)が、同会場で戦った24試合では平均約7000人、最多で9555人の動員を記録。平日夜の試合では「特に差別化できるのは渋谷ならではというのを痛感した」(同)と言う。ホーム開幕戦に足を運んでいた長谷部区長は「(客席が)埋まっているのは壮観だった」と振り返った。
小酒部選手は「1万人入る体育館で、ほぼ満員の中でプレーさせていただけて選手としてはうれしい」と話す。シーズン途中からは声出し応援も解禁されたが「プレー中でも聞こえる。後押ししてくれるような応援はうれしかったしプレーしやすかった」と感謝の思いを口にした。
クラブとしては区在住・在勤・在学者500人の招待・優待する「渋谷区デイ」や、小学校に訪問しワークショップをすると同時に児童には作ったエコバッグを会場で販売する機会も提供。観光協会と連動して観光動画やマップの制作など、区内での活動も増えた。
長谷部区長は「渋谷区内全ての(小中)学校にバスケ部があるのはBリーグが来たおかげかなと思うので、皆が憧れる選手とチームでいてほしい」と期待を込めた。
小酒部選手はシーズン前に掲げた「公約」を果たすかたちで、初台のコーヒー豆店で豆を焙煎(ばいせん)し製造の一部を恵比寿の就労支援で行うなどした「OSAkabe COFFEE」をプロデュース。680セットを売り上げたが「びっくりしているがうれしい」と喜ぶ。「似ている」とファンらに言われている動物クオッカがパッケージに描かれているが「自分ではあまり…」と言い「男なのでどちらかと言えば格好良いと言われたい」と笑う。ラテ系を中心に「コーヒーが好き」と言い、スターバックスコーヒーなどのカフェやラウンジが営業している代官山T-SITEにはオフだけでなくシーズン中にも足を運ぶなど「渋谷は来ることが多い」と明かした。
今季は42勝18敗東地区2位でチャンピオンシップ(CS)進出を果たし、ベスト4でシーズンを終えた。今季はヘッドコーチ(HC)が変わり開幕序盤は勝率が伸び悩む時期もあったが「徐々に結果が付いてきたので、来季に生かせるシーズンだったかな」と振り返った小酒部選手。CSでは「(昨季敗れた)島根(スサノオマジック)に勝てたことはでかいし、あの試合ができたからこそ個人としてもチームとしても良い収穫があった」とも。
個人としては「けがに苦しんだ」が、キャリアハイの得点を更新するなどした。「ドライブ(リングへのアタック)からパスしてミスしていることが多かったので、それだったら(シュートを)打った方が良いというHCの指示があったので、フィニッシュとかは昨季に比べて能力がついたと思う」と自己評価。守備は「学生時代はそんなにやってこなかった」と言うが、今では対戦相手のエースにつくことも多い。「やらなきゃ試合に出られないと思っていた。(前任の)ルカ(・パヴィチェヴィッチ)HCの教え、土台となる部分」と言う。来季に向け、けがへの対応やオープンで打つ3ポイントシュートの確率を課題に挙げ「オフに突き詰めていけたら」と話した。
Bリーグはオフ期間で来季に向けて、退団・継続が順次発表されている。小酒部選手は「もちろんさみしい気持ちはあるが、個人が決めた道を尊重しつつ、別のチームでもそれぞれが伸び伸びやれればいい」と考える。伊藤大司ゼネラルマネジャーは「優勝を目指し、強くて魅力のあるチームは引き続きつくっていきたいと思う。ただ、負けても魅力のある、さらに良いチームにしていこうと思っている」と展望した。
小酒部選手自身は大学3年時から特別指定選手として2季、プロとして2季A東京に在籍し来季も契約したことが発表されているが、「メインで使ってもらっているし、当たり前に自分がいるべき、ここが自分の場所」とA東京を位置付ける。「来季は今季の結果以上、優勝目指して頑張っていきたいので応援よろしくお願いします。また会えるのを楽しみにしています」とファンに呼びかける。
表敬訪問後には、マスコット・ルークも交えて庁舎内の一部フロアを回り職員にあいさつ・写真撮影に応じるなどした。