渋谷のプラネタリウム「コスモプラネタリウム渋谷」(渋谷区桜丘町)が6月23日から、ウクライナのプラネタリウム解説員による特別上映シリーズ「星は繋ぐ~ウクライナと日本の春夏秋冬~」を開催する。
ウクライナのプラネタリウムで解説員をしているオレナ・ゼムリヤチェンコさんを招き展開する同企画。ゼムリヤチェンコさんはプラネタリウムで宇宙の解説や望遠鏡を使った天体望遠会、映像の編集などを担当していたが、ロシアによる軍事侵攻を受け、昨年5月末に日本に避難し、同9月から都内に滞在している。
来日したゼムリヤチェンコさんが同6月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の窓口に送った「日本でもプラネタリウムに携わりたい」というメールを見たJAXA職員が、日本プラネタリウム協議会(JPA)のメーリングリストに協力を呼びかけた。メールを受け取ったコスモプラネタリウムの永田美絵チーフ解説員が、かねてウクライナのプラネタリウム支援を思案していた西香織解説員につなぎ、ゼムリヤチェンコさんと面談。
協働イベントとして今年3月、ゼムリヤチェンコさんによるハルキウの星空解説に日本語訳を付けたバイリンガル対応で特別プログラム「ふるさとハルキウの星」を投影すると同時に、ウクライナからの避難民を無料招待した特別投影会を行った。
涙を流す観賞者などがいたほか、展示ロビーで募った募金には2万円以上が集まるなど好評だったという。加えて、ゼムリヤチェンコさん自身もいつ帰国できるかが不明なほか、定職に就くことが難しいなか、プラネタリウムでの仕事に携わる機会を提供すると「日本語で春夏秋冬の星空の案内ができれば、他のプラネタリウムでも解説の仕事ができる」と考え、その手助けとして、シリーズとして展開することを決めた。
今月23日(19時~19時50分)の初夏編「ウクライナの星空案内と星祭り・七夕」を皮切りに、9月22日の秋編「ウクライナの星空案内と旧暦のお正月のお話」、12月8日の冬編「ウクライナの星空案内とお正月の風習」、2024年3月29日の春編「ウクライナの星空案内と佐倉と旅立ち」の全4回を予定する。タイトルや内容は変更の可能性有り。プログラムでは、ウクライナと日本の春夏秋冬の星空解説のほか、ウクライナの宇宙開発上の町名人の紹介なども行っていく。
西解説員は「今年はプラネタリウムが誕生して100周年。人類は命を奪ったり傷つけたりするたくさんの武器を作っていた一方で、100年前、人々を星の輝きでつなぐプラネタリウムという機会もつくり出しているさまざまな国の人々にウクライナに思いをはせる機会を提供し、平和へつなげていきたい」と願いを込める。
開館時間は12時~20時(土曜・日曜・祝日は10時~)。入館料は、一般=600円、小中学生=300円、小学生未満無料ほか。月曜休館。今月23日の上映会チケットは、今月17日からウェブサイトと同館の券売機で前売り販売する。