東京都は6月7日、「東京のしゃれた街並みづくり推進条例」の街区再編まちづくり制度に基づき、道玄坂2丁目地区を「街並み再生地区」に指定し、今後の渋谷駅前の再開発や再整備に向けたまちづくりのガイドラインとなる「街並み再生方針」を定めた。
道玄坂下交差点に面した「SHIBUYA109」などを含む「道玄坂2丁目地区」
都は2003(平成15)年に同条例を制定し、個性豊かで魅力のあるしゃれた街並みづくりを進め、東京の魅力向上に資するまちづくりに取り組んでいる。「街並み再生地区」指定は都内で計13地区、区内では「神南1丁目北地区」「渋谷3丁目地区」に続く3件目。今回指定された同地区の範囲は、渋谷駅の西側、道玄坂下交差点に面した「SHIBUYA109」を基点とし、大小の商業施設が連続する「道玄坂(大山街道)」と「文化村通り」の一帯に広がる約8.5ヘクタール。ライブハウスや飲食店、ホテルなど小規模な施設が集積する「百軒店(ひゃっけんだな)」のほか、再開発工事が進む複合施設「道玄坂通 dogenzaka-dori」(渋谷区道玄坂2)や、「新大宗ビル」跡を含む「道玄坂2丁目南地区」も同地区に含まれる。
2011(平成23)年3月策定の「渋谷駅中心地区まちづくり指針 2010」では、「渋谷の顔」となる道玄坂、文化村通りを「にぎわい拠点」と位置付け、「歩いて楽しい歩行者ネットワークの形成」とともに、ファション・音楽・宿泊施設・情報発信など「多彩なコンテンツを支える機能の強化」という地域の個性を生かした将来像が示されている。一方、建物の多くが老朽化し、建て替えによる防災機能や安全性の向上が課題となっている。
整備方針では、「音楽やファッションなどのカルチャーを発展させる個性・魅力を伸ばす機能の誘導(最先端のエンターテインメント施設、観光支援・宿泊滞在施設など)」「歩いて楽しいウオーカブルな歩行者空間の形成(貫通道路、アーバン・コア、歩道拡幅、広場整備等)」「百軒店エリア・道玄坂小路沿道における魅力的な環境創出(道路の美装化等)」「緑豊かな沿道の形成」「安全・安心なまちづくりの実現」などを重点課題として挙げる。同方針に沿った街並みを再生することで、容積率の緩和が可能となる。
今後は、渋谷区で地域の合意形成を図りながら、「かいわい性と種々雑多な魅力にあふれたエンタメ都市の体現」を目指した地区計画を策定し、まちづくりを進めていく。