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渋谷・表参道などで短編映画の祭典「SSFF & ASIA」 270作品上映

オープニングセレモニーより

オープニングセレモニーより

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 日本発アジア最大級の短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア(以下SSFF & ASIA)2023」のオープニングセレモニーが6月6日、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷区宇田川町)で行われた。

「Shibuya Diversity Award」を受賞した「マルゴの妹」より

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 俳優の別所哲也さんが創設者となり1999(平成11)年に原宿で始まった「アメリカン・ショート・ショート フィルムフェスティバル」を前身に、2001(平成13)年に改名したのがショートショートフィルムフェスティバル(SSFF)。2004(平成16)年には米国アカデミー賞から公式認定を受けると同時に、東京都と共催でアジア作品を集めた「ショートショート フィルムフェスティバル アジア(SSFF ASIA)」を兄弟映画祭として初開催した。以降、SSFF & ASIAとして両祭を同時開催している。

 SSFFが25周年、SSFF ASIAが20周年となる今年は、「UNLOCK(解放)」をテーマに掲げる。別所さんは、新型コロナウイルス感染症の流行で「ロックダウン」という言葉が世界中で広がったことに触れつつ、「まさに、アンロックする、解き放つ時間がやってきたと思う。同時に、映画業界も解き放たれて新たなステージに、そして私たち・あなた自身も何かから解き放たれる、世界もアンロックされる時期だという思いを込めた」と話した。

 今年は、120の国と地域から5196作品が集まった。今年は特に米・日本・仏・中国からの応募が多く、日本からの応募は全体の16%に上った。女性監督、初監督作品、学生作品がそれぞれ全体の3割、年齢は30代が4割、20代が3割と若手監督の作品が多く集まったという。その中から選ばれた270作品を上映・オンライン配信する。

 ライブアクション部門(インターナショナル、アジア インターナショナル、ジャパン)、ノンフィクション部門、アニメーション部門で構成するオフィシャルコンペティションは、各部門優秀賞が翌年のアカデミー賞短編実写部門へ推薦される。クリス・ロックさんとハビエル・バルデムさんが主演する「LOOK AT ME」、ベン・アフレックさんとマット・デイモンさんがプロデュースする「崩壊しつつある世界で」(いずれもインターナショナルプログラム)、映画監督ヴィム・ヴェンダースさんがナレーションする「あの世への口笛」(アニメーションプログラム)を日本プレミアとして特別上映。ジャパンプログラムには、土屋太鳳さんが監督し有村架純さんと共に主演する「Prelude~プレリュード~」、玉木宏さん監督・林遣都さん主演「COUNT 100」、永山瑛太さん主演「半透明な二人」(浜崎慎治監督)などがノミネートされている。

 このほか、東京の「魅力」を発信する作品を上映する「Cinematic Tokyo部門」、スマートフォンで撮影された作品による「スマートフォン映画作品部門」、国内の25歳以下の監督が製作する5分以下の作品を集めた「U-25プロジェクト」、せりふ無しの作品が中心のキッズプログラムなどを展開する。

 渋谷区とタイアップする「Shibuya Diversityプログラム」は、「ちがいを ちからに 変える街。」という区の基本構想を普及・啓発する取り組みの一環として2017(平成29)年から展開するプログラム。人種やジェンダー、老後などダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(包括・包含)をイメージした作品をラインアップしている。

 この日、アワード受賞作品が発表され、知的障がいを持つ妹を持つマルゴがある出来事をきっかけに考え方を変える姿を描いた加クリスティン・ドヨン監督の「マルゴの妹」が選ばれた。ドヨン監督は来日がかなわなかったが、「精神障がいの違いについて認識を広めるために製作した。この受賞はとても意味のあること」と動画コメントを寄せた。

 長谷部区長は「一人の少女の意識が変わっていくさまが、スライスオブライフのように生活の中で自然に描かれていた。渋谷区の多くの人たちが気持ちのバリアを乗り越えて、多様性を理解して街づくりの推進力にしていくきっかけになる映画だったのでは」と選定理由に触れた。

 同プログラムではこのほか、ブリティッシュコロンビアに引っ越した韓国系カナダ人の少年が新しい生活になじめず奮闘する姿を描く「僕の名前はアーノルド」、数年間の付き合いから別れることになった同性カップルが再会したことから迎える思いがけない展開を描いた「イアゴとトリスタン」など全6作品をラインアップ。渋谷区文化振興課加藤博是(ひろし)課長は「多様性がさらに広まった作品が多かった」と全体の印象を話し、「まずは短編映画なので気軽に見てもらいたい。考えさせられる内容の作品なので友達や家族で共有し、多様性について考えるきっかけになれば」と呼びかける。

 同プログラムは、今月9日(19時30分~21時40分)には渋谷ストリーム(渋谷3)内のカフェ「TORQUE SPICE & HERB,TABLE & COURT」で上映するほか、オンラインで配信もする。

 今年は渋谷駅前の忠犬ハチ公像のモデルとなった秋田犬・ハチが生誕100年を迎え、渋谷区やハチの生まれ故郷の秋田・大館市などが実行委員会を結成し、記念事業を進めている。会場ではハチの物語などをまとめた映像を初上映。子ども向けにアニメーションを取り入れ、外国人向けに英語の字幕を付けるなどしている。映像は100周年事業の公式ホームページや駅周辺の屋外ビジョン、区内小中学校の授業などでも流していく予定。8月には渋谷で、11月には大舘でイベントを予定しているが、実行委員長で大館市観光交流スポーツ部阿部拓巳部長は「大舘と渋谷のつながりを再認識して、一緒に未来に向かっていくというメッセージを次の世代に伝えていきたい。都市と農村交流のモデルを大舘と渋谷の交流からつくっていけたら」と意欲を見せる。

 SSFF&ASIA2023作品の観覧は無料(一部有料イベント有り)。今月26日まで(オンライン配信は7月10日まで)。渋谷区内の上映会場は、TORQUE SPICE & HERB, TABLE & COURT、ユーロライブ(円山町)、表参道ヒルズ(神宮前4)内の「スペース オー」。

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