渋谷区を拠点とする3人制バスケットボール「3x3(スリー・エックス・スリー)」のプロチーム「TOKYO DIME(東京ダイム)」が5月13日、長谷部健渋谷区長らを表敬訪問した。
今シーズンが開幕したことから訪問したこの日は、オーナーの一人で5人制プロバスケットボールリーグ「Bリーグ」の現役選手でもある岡田優介さんに加え、男女それぞれ選手が参加した。
クラブは発足10年目となるが、岡田さんは「最初は楽しい、面白い競技くらいだったが、3・4年目くらいから渋谷での活動や子どもへの支援などを徐々に始め、関わってくれる人が増えてきた。今まで以上に区とのつながりも深まって、まいてきた種が少しずつ実になってきていると思う」と振り返り、「コロナが明けてイベントができるようになったのは追い風。元々得意としていたが、さらにイベントや大会など仕かけていきたい」と意欲を見せる。
区内では、6月4日に渋谷区主催のイベント「渋谷おとなりサンデー」に参加するほか、区内施設でのイベント開催、区内の学校と連携した取り組みなども行っていく予定。6月には、代官山スポーツプラザでリズムジャンプトレーニングクラスを開校するほか、ひがし健康プラザで開いている子ども向けのスクールはキャンセル待ちが出る好評ぶりで増枠を検討しているという。
チームとしては、4月に開幕した「3x3 JAPAN TOUR」、今月開幕したプロリーグ「3x3.EXE PREMIER」、地域予選から勝ち上がる「3x3日本選手権」それぞれで優勝を目指す。そのため、「昨年まで積み上げてきた土台を大事に、一つ上のレベルでやれるよう」新戦力を招き強化を図った。男子は、日本代表経験のある小松昌弘選手がキャプテンを務めるほか、Bリーガーでもあり高い身体能力を持つ藤高宗一郎選手、アグレッシブなプレーが特徴の西畝優選手、青山学院大学出身の伊森響一郎選手らに加え、米アドネシー・ジョシュア・ブラマー選手が新たに加入。2022-23シーズンはB3リーグのクラブに所属し平均得点・リバウンドそれぞれでリーグ2位の記録を残した。
「彼の加入でガラッと変わった」と言う鈴木慶太選手は、「若くてサイズもあるが、俊敏でジャンプ力も高い。今まで(東京ダイム)は堅実に相手の穴を突くプレーをしていたが、アリウープとかも決めていて、ファンの方には『ワクワクする』と言ってもらえている」と話す。シーズンが始まったばかりということもあり「完成度が低いので、高めていってその先に世界大会などにもチャレンジしたい」と意欲を見せた。自身は在籍8年目となるが「絶好調」とアピールした。
女子は、所属3年目となる小原みなみ選手がキャプテンを務めるほか、5人制の国内リーグ「Wリーグ」のクラブに所属する渡部友里奈選手、伊森選手の妹であり同じくWリーグでプレーする伊森可琳選手らがエントリー。小原選手は「切磋琢磨して良い雰囲気でできている」とチーム状況を明かしつつ、Wリーグ開幕後は各選手がクラブに戻ることから「そこからが勝負。強度を落とさずにチームを作り上げていきたい」と意気込む。自身は4月の試合で左膝の前十字じん帯を断裂したことから、今季は試合出場が難しい状況となってしまったため「練習から雰囲気づくりや個々のサポート、チームの方向性を示していきたい」と話した。
さらに5人制の日本代表経験のある藤岡麻菜美選手も新規加入。藤岡選手もWリーグでプレーしていたが、シーズン途中の2月に退団していた。それをニュースで知った岡田さんが、かつて自身もシーズン途中でクラブを離れた経験から「重なる部分があった。力になれたら」と声をかけたという。
藤岡選手は「もうバスケはいいかなと思っていたが、誘ってくれた時にやっぱり好きなのでもう一回やってみるのも良いかなという気持ちになった」と言う。その後東京ダイムの練習に参加し、「3x3の選手は遊びでやっているイメージがあったが、めちゃくちゃ本気で取り組んでいて、それも良いなと思って」入団を決めた。3x3は初挑戦で「ひたすら攻守の切り替えが続くところがきついが、5人制にはない所で面白い」と笑顔を見せる。高校のバスケットボール部のコーチ業を優先に活動することから、試合への出場は難しいが「少しずつ練習に参加して、経験してきたことを言動で伝えていきたい。(プレーでは)アシストが好きなので、味方を生かしながらプレーメイクしていきたい」と話した。
現役の選手として「Bリーグが盛り上がっている熱を感じている」と言う岡田さんは、「同じバスケットとして盛り上げたいので見に来てもらえたら」と話す。東京オリンピックで採用され認知が広がった3x3だが、「オリンピックはきっかけとしては良かったが、ショートカットはできない。あとは現場の人間が頑張らないといけない。リーダーとしてもっと仕かけていって業界全体を引っ張っていきたい」と続けた。