Bリーグ・サンロッカーズ渋谷（以下、SR渋谷）が5月6日、川崎ブレイブサンダース（同、川崎）に逆転負けを喫した。

浜中謙HCが評価した渡辺竜之佑選手の守備

　今季最終節の戦いとなったなか、「積み上げてきたものをどういう風に体現するか、どうやって戦っていくかを伝え」（浜中謙ヘッドコーチ（HC））臨んだこの日。渡辺竜之佑選手がジャンプボールに絡んだほか、川崎のスクリーンを使った攻撃に対して自身が守る選手を粘り強く追いかけると、浜中HCは拍手して鼓舞していたが「川崎の強み・良さを消さないといけないと思っていた部分を彼が入り口としてやってくれた。どういう試合にしたいかが伝わってきた」と評価。前節から渡辺選手をスタート起用しているが、「キャラクター的にも彼が頑張っている姿は活気をもたらせてくれている」と期待を込めている。

　攻撃ではケビン・ジョーンズ選手のリバウンドからの得点で先制すると、ライアン・ケリー選手のアタックからジョーンズ選手へのアシスト、石井講祐選手、ケリー選手の連続3ポイント（P）シュートで開始2分強で2桁リードを奪う。途中出場した盛實海翔選手も「打つしかなかったが自分のタイミングでもあった」時間が無いなかで3Pを決めたほか、小島元基選手は得意のミドルレンジを沈めるなど得点を重ねた。

　26-9とリードし迎えた第2クオーター（Q）だが、ファウルやミスが続きオフェンスが停滞し36-30と詰められる。後半序盤はボールを奪うプレーや体を張ってシュートを止めるなど攻守で2分強川崎の得点を抑える。同時に、ジョーンズ選手やケリー選手のミスマッチを生かし得点を重ねリードを再び2桁に広げるが、スクリーンを使ってオープンを作った川崎の3Pを止められず53-54と逆転を許す。浜中HCは「（そういうプレーを）やらせないように、自分たちから先行してやらないといけない所が徐々にオフェンスの終わり方に頭が引っ張られてしまった」と振り返る。

　それでも、「サンロッカーズらしさ出せた」（盛實選手）と最終Q序盤に石井講祐選手が粘り強い守備でミスを誘ったほか、ケリー選手はシュートをブロックするなど我慢の展開が続く。攻撃のミスなどから失点が続き残り2分で2桁リードを許すも石井選手の3P、ジョーンズ選手のリバウンドからの得点など最後まで攻め続けたが、70-79で試合終了となった。

　川崎のゾーンディフェンスに苦しんだ印象があるが、浜中HCは「前回大きな反省があった」ことから言及せず、「そこより、自分たちが一生懸命守って獲得したディフェンスリバウンドを速攻でターンオーバーにしてしまうなど、ミスから走られた」点を指摘。「ミスは起きてしまうもの。原因を追求するより、その後のリアクションがサンロッカーズとして積み上げてきたものにふさわしくなかった。サンロッカーズとして我慢しましょうと言っていたものと相反する行動が先に出ていて、つけ入る隙を与えてしまった」と振り返った。

　盛實選手は「打てるタイミングだったら打とう」と7本の3Pを打ったこの日。ここ数試合積極的に得点を狙う姿を見せているが、「入らないからといって打たなくなったら自分が出ている意味がない。あとはバランス。今日は2点があまりなかったので使い分けていきたい。オフェンスの部分でチームに幅を出せたらと思っている」と話す。

　「チームとしてもいろいろあったし、1番（ポイントガード）・2番（シューティングガード）両方やることがあって、どっちをメインとしてやるのか難しい部分はあったが、自分のやり方を探しながらできて成長できている」という今季。大学3・4年時に特別指定として加入し、プロ3季目を迎えているなか、「プロの世界でプレーをする機会を与えてくれたチームなのですごく思い入れがある」SR渋谷での今季も残り1試合となった。「最後のゲームになるので、毎回言っている楽しむことは忘れずに、ファンの皆さん、チーム全員で勝利に向かって戦っていけたら」と話した。

　浜中HCは「1秒1秒サンロッカーズのバスケットボールがどういうものかを体現することで、見ている方々が『バスケットボールって楽しいな』って思わず身を乗り出すようなプレーをできたら。一番分かりやすいのは一つのボールに対して一生懸命追う姿だと思う。それを一つ一つ積み上げて、最終的に結果も付いてきたら良いが、とにかくサンロッカーズのバスケットを切らさずに40分間戦い抜けたら良いシーズンの締めくくりにはなるかな」とも。