渋谷スクランブルスクエア(渋谷区渋谷2)2階の館外通路で現在、「点字ブロック」にアートを施した「STREET ART LINE(ストリートアートライン)」が期間限定で敷設されている。
「アートの力で、街の公共空間を『新たな居場所』へと変えていく」をコンセプトに掲げるアートプロジェクト「PLACEMAKING ART in SHIBUYA」の取り組み。渋谷駅周辺のまちづくり活動を行う一般社団法人「渋谷駅前エリアマネジメント」と、アートエージェンシー「TokyoDex(トウキョウ・デックス)」(世田谷区)、「STREET ART LINE PROJECT」実行委員会の3団体で共催し展開する同プロジェクトは、ワークショップ、ライブペイント、ストリートアートラインの3つのアートイベントで構成。現在、同所に敷設されている「ストリートアートライン」は、ワークショップ、ライブペイントから生まれたアートを落とし込んだ最終作品となる。
大規模な再開発工事が続く渋谷駅周辺では、エレベーターやエスカレーター、歩行者デッキの新設など歩行者移動をスムーズにするネットワークの整備が進む。一方、視覚障がい者の道となる「点字ブロック」に目を向けると、ブロックが剥がれていたり、途中で途切れていたり、看板などの障害物が動線を遮っているケースも少なくない。こうした健常者が意識しづらい課題解決に向け、実行委員会では、アートと点字ブロックの両方の機能を備える「STREET ART LINE」を開発し、健常者への啓発と、視覚障がい者が街を楽しむための道づくりを進めている。
今回の取り組みは、同プロジェクトをより複合的なアートプロジェクトとして組み立てたもの。昨年10月、渋谷のまちづくり関係者、視覚障がい者、アーティストら約30人が参加し、「多様性」をテーマに粘土などの素材を使った「ワークショップ」を第1ステップとして実施。そこから生まれたアート作品を元に、3人のアーティストが渋谷駅西口の工事現場仮囲いに第2ステップとなるライブペイント(2023年3月13日~3月23日)を行い、ふくよかな「人間」、カラフルな「動物」、精密な線で描いた「植物」「街」などを表現し多様な生き物が共存する「壁面アート」を仕上げた。最終ステップでは「壁面アート」を渋谷スクランブルスクエア2階の館外通路壁面に移設し掲出するとともに、通路内の「点字ブロック」にも同じアートを施し、同プロジェクトの集大成となる「ストリートアートライン」を完成させた。
渋谷駅前エリアマネジメントの小ノ澤衣織さんは「複雑で多様な顔を持つ渋谷で、『多様性』をテーマにしたプロジェクトを開催できたことが大変うれしい。駅前の空間が、さまざまなバックグラウンドを持つ人々の思いが込められたすてきな居場所になっている。ぜひ現地までお越しいただき、その思いを感じ取っていただければ」とコメントを寄せる。
敷設期間は5月7日まで。