テイクアウト・デリバリー専門店「客席のないレストラン」(渋谷区本町、TEL 03-5843-5851)が4月14日、初台駅近くにオープンする。経営はきちりホールディングスのグループ会社レストランX(渋谷1)。
新型コロナウイルスの流行で、一時休業や営業時間短縮の要請、座席間隔の確保など、大きな影響を受けた飲食業界。そうしたなか、テイクアウトやデリバリーに対応する、キッチンのみで非来店型のデリバリー専門飲食店「ゴーストレストラン」も増えた。
3年ほど構想していたという同業態。グループで外食事業などを展開するきちりホールディングスは、2020年に初台にセントラルキッチンを開設すると同時に、内食事業としてデリバリーを始めテストマーケティングをしていた。コロナ禍は明けつつあるが、昨年のデリバリー市場規模は約7754億円とコロナ禍前の2019年比で85%増と高い比率へ推移している(外食・中食 調査レポート2022年計、エヌピーディー・ジャパン調べ)ことなどから「需要は減らない」と判断し、店舗の出店を決めた。
「デリバリーの注文が多い」中野区内にも対応できることや、ビジネスシーンもターゲットに、初台の駅近くに出店した。店舗面積は約20坪。消費者の「安心感」の一つとして、店舗外からでも調理工程やスタッフの様子が見られるよう大きなガラス窓を設置している。
同店では、和洋中15ブランドのメニュー約200種類(オープン時)を提供する。きちりが展開する既存のブランドではなく、経時変化を考えたメニューを提供するため、新たなブランドを開発。複数のブランドを展開することで、鳥インフルエンザや豚コレラなど外的要因で食材の調達ができない場合にも、「迅速に」提供メニューの切り替えや販売中止などの対応ができるという。
料理には生産者の元に視察に行きセレクトした食材を使うほか、和風テイストの唐揚げ業態で使う鶏肉を、韓国料理業態では衣や味を変えるなど、調達した食材を無駄なく使うようにする。
各ブランドとメニューは、低温調理する牛ハラミを炭火で炙(あぶ)って仕上げる「のり弁スタイル」で提供する「やわらかヘルシー 肉のり弁 ハラミ太郎」=「特製焼肉たれ 牛ハラミ丼」(テイクアウト1,490円、デリバリー1,580円)ほか、韓国専?料理店「VEGEGO (ベジゴ)」の料理をラインアップする「韓国?堂GAJAgo(ガジャ・ゴー)」=「旨辛スンドゥブ ライス付」(同790円、同990円)ほか、サラダ店「SALAD HOLIC」=「メキシカン・コブ」(同1,350円、同1,550円)ほか。会食などビジネスシーンや祝いの席での利用にも対応するため、一部メニューは「格式高い」容器(約600円~800円、ブランドにより異なる)に変更もできる。
店舗は、キッチン・配達スタッフ合わせて4人で営業する予定。きちりホールディングスのセントラルキッチンで一次加工した物を店舗が仕入れ、店内のキッチンで最終調理するなど少数のスタッフで営業できる仕組みにしている。
今後、店主の高齢化で約35年の歴史に幕を閉じた広尾の天ぷら専?店「ねぎ坊主」のメニューを提供するなど、「名店の味」や事業継承にも取り組むという。
客単価は1,200円~1,500円程度を見込む。注文は、新たに開発したアプリ「客席のないレストラン」で受け付ける。支払いは完全キャッシュレス。テイクアウトは約20分で提供、デリバリー(1,000円以上から注文可能)は約30分で配達する。デリバリーの配達エリアは同店から約1.6キロ圏内で、本町や西原などの渋谷区内をはじめ、西新宿、一部中野区など。3キロ圏内の利用も見込み他社のデリバリーサービスからも注文は受け付けるが、その場合は配達料が別途かかる。
営業時間は11時~21時。目標月商は1,000万円~1,200万円。