渋谷・宮益坂下交差点を中心とした大規模再開発プロジェクト「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」が東京都市再生プロジェクト(東京圏国家戦略特別区域)の特定事業として認定され、4月12日、東京都と渋谷区から都市計画決定の告示を受けた。事業主体は宮益坂地区市街地再開発準備組合、事業協力者は東急とヒューリック。
渋谷駅東口エリアでは現在、宮益坂上交差点や金王坂(青山通り)を中心とした再開発プロジェクト「渋谷二丁目西地区」、渋谷ヒカリエや青山通りに隣接する再開発プロジェクト「渋谷二丁目17地区」、東京都児童会館跡地や美竹公園などを一体的に再開発する「都市再生ステップアップ・プロジェクト(渋谷地区)」が進行中。今回の都市計画の決定を受け、渋谷区では「渋谷二丁目西地区」に続く、2件目の国家戦略特区の事業プロジェクトとなる。
再開発エリアは、宮益坂下交差点角にある「小林ビル」を中心とし、明治通り沿いのシブヤボウリングがある「渋谷東口会館」や、宮益坂沿いの「渋谷たくぎんビル」「ヒューリック渋谷ビル」などのビル群が並ぶ「A街区」。渋谷ヒカリエに隣接するりそな銀行渋谷支店がある「渋谷協和ビル」「ウエマツ画材店」などがある「B街区」。3階部に宮益御嶽神社を併設する「渋谷区立商工会館」などがある「C街区」の3つ街区で構成。
総敷地面積は約1万870平方メートル(A街区=約7930平方メートル、B街区=約2180平方メートル、C街区=約760平方メートル)。総延べ床面積は約20万800平方メートル。A街区=地下3階~地上33階(高さ約180メートル)、B街区=地下2 階~地上7階(高さ約60メートル)、C街区=地下1階~地上2階(高さ約20メートル)。
東口の新たな「ゲート」となるA街区は、「国際競争力強化に資する都市機能」の導入として、低層部に国際会議場などMICEの誘致・開催に対応する「多目的ホール」、中層階はオフィス、上層階は国際会議などに対応する「宿泊滞在施設」。さらにイノベーションを創出する「産業育成支援施設」も整備する予定。渋谷ヒカリエに隣接するB街区は店舗などから成る商業施設となり、4階レベルの空中階には憩い空間となる広場を設ける。C地区は宮益御嶽神社をメインとした施設となる。
渋谷駅周辺の他の再開発プロジェクト同様、同事業でもA街区とB街区に谷地(やち)形の高低差バリアーを解消し、地下から地上(4階)への縦動線の移動をスムーズにする「アーバン・コア」を設置。東京メトロ渋谷駅の宮益坂東改札口とアーバン・コアを結節する「地下広場」も整備する。上下の縦移動に加え、A街区とB街区の横移動をスムーズにするため、宮益坂(大山街道)の上空(4階)を空中通路でつなぐ。さらに、B地区の空中階にある広場を経て、渋谷ヒカリエ3・4階北側に整備された「ヒカリエデッキ」へと接続。ヒカリエデッキは2027年度までに銀座線ホーム屋根上を経て、渋谷マークシティまでつなぐ「スカイウェイ(仮称)」の供用が始まる。将来的には宮益坂から道玄坂まで、幹線道路などに阻まれることなく、大山街道を空中レベルで移動できる歩行者ネットワークが形成される見込み。
同事業では、古くから渋谷の目抜き通りとして栄えてきた「大山街道(宮益坂)」の再整備も重視。A街区に「交差点広場」、B街区に「大山街道沿道広場」、C街区に「神社前広場」など多様な広場やにぎわい創出を行う施設を設け、「人」中心の「ウオーカブルでにぎわいあふれる」歩行者空間の形成を目指す。さらにA街区では立体道路制度を活用し、ビルを貫通する「区画道路(幅員約7メートル)」を新設するほか、「区道919号路線」の拡幅、荷さばき施設の設置など、地域の交通利便性の向上に向けた整備も行う。
今後、市街地再開発組合の設立を経て、工期などの詳細が発表される予定。