88回目となる「忠犬ハチ公慰霊祭」が4月8日、ハチ公前広場で開催された。
当日は、多くの観光客らも見守る中、渋谷区やハチの生まれ故郷である秋田県大館市の関係者ら合わせて50人以上が集まり祭典に臨んだ。冒頭のあいさつで、忠犬ハチ公銅像維持会の星野浩一会長は「地元としてもハチ公像があるのは誇り。これからもずっと維持していきたい」と決意を新たにしつつ、11月で生誕100年を迎えることを紹介した。
長谷部健渋谷区長はハチ公が縁となり生まれた渋谷区と大館市の関係を披露。一例として、区内の小中学校の給食の米は全て「あきたこまち」が使われていることを挙げた。そうしたことも含めて「渋谷の守り神でもあるハチ公が紡いでくれている縁は渋谷にとって大変重要。生誕100年を機に、ハチ公の物語やハチ公を愛する人たちの思いを、より多くの人に知ってほしい」と呼びかけた。
来賓あいさつの後、金王八幡宮の比留間広明宮司により、祝詞奏上、玉串奉てんなどの祭典が行われ、最後に星野会長と長谷部区長により、ハチ公像に花輪がかけられた。
1934(昭和9)年に設置された初代ハチ公像を制作した彫刻家・安藤照の長男で、1948(昭和23)年に設置された2代目・ハチ公像を手がけた安藤士(たけし)さんの長女・淳子さんも出席。「今年は88回目ということで、ハチを連想した」という。士さんの縁で今も『桜輝(おうき)』という名の秋田犬を飼っている淳子さんは「(桜輝が)座っていると、まさしくハチ公像と同じ。一緒に暮らしていて、秋田犬の気質は本当にすごいと思う」と話す。
11 月10日でハチ公が生誕 100 年を迎えるに当たり、渋谷区と一般財団法人渋谷区観光協会は大館市と共に昨年11月、「ハチ公生誕 100 年プロジェクト(通称=HACHI100)」を立ち上げ、今年、さまざまな展開を予定している。連動して、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4)学芸員の松井圭太さんは「生誕100周年を記念した企画展を8月ごろに開きたいと構想している」と話す。