Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)とアルバルク東京(同、A東京)が3月19日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で戦った。54-67でA東京が勝利し、「渋谷ダービー」は1勝1敗の痛み分けとなった。
リングへのアタックから得点やアシストを重ねたSR渋谷・小島元基選手
共に渋谷区をホームタウンに活動する両チーム今季唯一の対戦となる連戦2日目。A東京は前日の敗因となった試合の立ち上がりで、SR渋谷のベンドラメ礼生選手にゲームをコントロールされたことから、守備が持ち味の岡本飛竜選手をスタートで起用。加えて「パスコースに入り、正しい守備位置にいることを遂行」(A東京デイニアス・アドマイティスヘッドコーチ(HC))してミスを誘発する好守もあり、16-18とリードを奪う。
試合が動いた第2クオーター(Q)。立ち上がりでベンドラメ選手がオフェンスを含むファウルやミスが続くなど得点が停滞。それでもSR渋谷・浜中謙HCは、「ミスしたことで交代するという考えはない。特にベンドラメの場合は支柱としてチームを引っ張ってくれていてコートにいる心強さもある。ベンチに下げなくても気持ちを切り替えてくれる」と継続して起用した。
25-39で迎えた後半。第2Q途中から攻撃の起点となっていたSR渋谷の小島元基選手が、「(A東京の)ショウ(スクリーンプレーに対する守備の1つで、ボールマンを牽制する動き)が中途半端だったのでいくらでもドライブ(ドリブルでリングに向かうプレー)できるな」と積極的にアタックし、得点やアシストを重ね40-50と点差を詰める。
それでも、A東京は「良いシュートを狙って決め切ることができた」(アドマイティスHC)と3Pが試合を通して好調だったこともあり再びリードを広げた。安藤周人選手は3Pを50%の高確率で4本沈めた。2月から不調が続いていたなか、前日の試合後、ビデオコーチに3Pが入った時と外れた時のフォームの映像をまとめてもらい確認したところ「もらう前と打つ前のボールの位置が少し下がっていた」。試合前の練習で調整したことが結果につながった。「(オフの)夏から準備してきたものにただ戻しただけだが、元の自分に戻れた」と手応えをうかがわせた。
終盤は、「見方によっては負け犬の遠吠えかもしれないが、ただ単純にあの点差のままずるずる負けたくない。一つ一つのゲームを諦めないことをお願いとして託した」と、浜中HCは選手全員を入れ替え、ボールマンにダブルチームを仕かけミスを誘発し、井上宗一郎選手が3Pを決めるなどした。
古巣対戦となった小島選手は「ガラッと変わっちゃったし、正直コンディションがもうちょっと良い時にやりたかった。でも渋谷ダービー楽しかったし、うん、良い試合だった」とかみしめた。ベンドラメ選手含め同級生で「仲良し」と知られる岡本選手と対峙する場面もあったが「まさか飛竜がアルバルクに行ってマッチアップすると思っていなかった(笑)。これもまた何か面白い出来事だと思いながらも、勝つために特に意識はしなかった」と話した。
安藤選手は「渋谷や都内の方が見に来てくれることはBリーグの盛り上げ、互いのチームを知ってもらう意味でも大事なのでもっと盛り上げたい」とダービー戦について触れた。
ダービー戦ではてコート内外でさまざまな企画を実施。朝には、特定NPO法人グリーンバード協力の下、クラブスタッフやファン約20人が参加しA東京のホームアリーナ国立代々木競技場第一体育館から青山学院記念館までのゴミ拾いを実施し、コミュニケーションを図った。会場には両クラブのマスコットがそろったほか、来場客には両チームの代表選手やマスコットをデザインしたチケット風カードを進呈。売店では両クラブのマスコットを表裏にデザインしたアクリルキーホルダー(800円)を販売した。
試合前には、両クラブのU15が親善試合を実施。立ち上がりはSR渋谷U15は安齋寛都選手、安食今生選手を中心に得点を重ね、アグレッシブな守備でミスを誘う。A東京U15は斉藤響選手、西村向佑選手が3Pを含め得点を挙げた。21-15とSR渋谷U15がリードし迎えた第2Q序盤はSR渋谷U15が得点を重ね一時2桁リードを奪うが、後半はA東京U15が連続得点で点差を詰め34-29で前半を折り返した。
後半は、A東京U15の大倉選手が3Pを2本沈めるが、SR渋谷U18の田中麗斗選手がインサイドへのアタックなどで得点を挙げ点差を広げる。50-39で迎えた最終Qは、SR渋谷U15が好守でボールを奪い、鏑木捺貴選手を中心に5連続3Pなどで突き放し69-41でSR渋谷U15が勝利した。
次節は今月22日、SR渋谷は新潟アルビレックスBBと、A東京は茨城ロボッツとそれぞれホームで戦う。