青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で3月18日に行われたサンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)とアルバルク東京(同、A東京)の「渋谷ダービー」は、SR渋谷が78-75で先勝した。
21得点リバウンド7本などをマークしたA東京ライアン・ロシター選手
Bリーグに属し、共に渋谷区をホームタウンに位置付ける両チームの今季唯一のダービー戦となる今節。初戦の立ち上がり流れをつかんだのはSR渋谷。ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手のダンクで先制すると、ベンドラメ礼生選手が自らのアタックやアシスト、3ポイント(P)シュートなど攻撃を引っ張り、27-17とリードを奪う。
「出だしが全て」と第1クオーター(Q)を敗因の一つと挙げたA東京デイニアス・アドマイティスヘッドコーチ(HC)は、「集中力がなく、メンタルの準備ができていなかった」と指摘。第2Qは立ち上がりでミスを誘発するなど守備の強度を上げ、2分強SR渋谷に得点を許さず、点差を詰める。SR渋谷はマカドゥ選手がゴール下で強さをみせ得点を重ねたほか、西野曜選手が攻守にリバウンドに飛び込み、リングへアタックし倒れ込みながらシュートを決め流れを渡さない。それでも、終盤にA東京・岡本飛竜選手が粘り強い守備で自他共に「仲良し」と認めるベンドラメ選手のミスを誘ったほか、ジャスティン・コブス選手がシュートをブロックするなどして43-41点差を詰めて前半を折り返した。
後半立ち上がりにコブス選手の3Pで逆転したA東京は、ライアン・ロシター選手の連続得点などで一時6点差を奪うが、ミスが続き流れを引き寄せきれない。SR渋谷はライアン・ケリー選手、マカドゥ選手の連続ダンクで試合を振り出しに戻すと、以降は拮抗(きっこう)。SR渋谷はアンスポーツマンライクファウルやテクニカルファウルが宣告されるもフリースローでつなぎ我慢し、60-59で最終Qに突入。
好守からの速攻でアレックス・カーク選手がダンクを決めるなどA東京が再び前に出ると、一進一退の攻防が続く。A東京に所属していたこともあるケビン・ジョーンズ選手の3P、リバウンドからの得点などでSR渋谷が残り約3分で逆転するとリードを守り勝利した。終盤SR渋谷はフリースローで得点を重ねたが、アドマイティスHCは「もう少しスマートにディフェンスするべきだった」と反省点に挙げた。
「最高」と勝利を喜んだSR渋谷・浜中謙HCが勝因と挙げたのは、45本とA東京を16本上回ったリバウンド。「とにかくリバウンドだと、時間が止まるたびに話した」という。アドマイティスHCはSR渋谷にオフェンスリバウンドを13本許し、そこから18失点したことに触れ「フィジカル面で負けた」と反省点の一つに挙げた。
初対戦となったSR渋谷についてアドマイティスHCは「ピック&ロール(スクリーンを使う攻撃の一種)から崩すプレーで、2・3つのオプションがある。ピック&ロールに対して我々はいろいろな守り方があるが、やりたいパターンで点を取られた」と評価。
「ナショナルチームも率いていた方に評価いただき素直にうれしい」と照れ笑いを見せた浜中HCは、東京出身ということもありA東京は「小学生から見ていた伝統・歴史あるチーム」。「HCが変わられても勝ちを求められるクラブという文化は変わらない。僕は新米で駆け出しだが、一生懸命やることは唯一負けないようにとり組んでいる」と話した。
チャンピオンシップ進出に向け負けられない試合が続くなか、「東地区2位という強い相手に勝てたのはより大きな自信になる」と勝利を喜んだ関野剛平選手。ディフェンシブな選手として、コブス選手とマッチアップしたが、「スピードではなくスキルでくる選手。パワーはあるがコンタクトは嫌がると思ったので、ボールを持たせる前に当たって、良い位置で持たせない、スコアリングエリア外で持たせることを意識した」と振り返った。「チームとして、やるべきことなどを全員が理解した上で試合を進められている」と我慢強さの要因を挙げ、「勝ち慣れというところまではいっていないが、勝ち方は少しずつ戻ってきたのかな」と手応えもうかがわせた。
岡本飛竜選手はベンドラメ選手とマッチアップを「メインのハンドラーなので、削っていきシュート確率の低下とかに良いジャブとして効かせていきたいと思った」と振り返り、「今季B1でプレーできるか危うかったなか、チーム練習が始まった7月・8月にも自主練に付き合ってくれて本当に感謝している。今日は(小島)元基はいなかったが、そういう奴らと試合ができたことが楽しくてしょうがなかった」と笑顔を見せた。
両チームは19日も同所で戦う。