ファッションブランド「TENDER PERSON(テンダーパーソン)」が3月15日、渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)9階ホールAでランウェーショーを開き、2023年秋冬の新作を披露した。今月13日に開幕したファッションイベント「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッション・ウィーク東京)2023A/W(東京コレクション)」の一環。
テンダーパーソンは、当時文化服装学院に在学していたヤシゲユウトさんとビアンカさんの2人が2014(平成26)年にスタート。楽天ファッション・ウィーク東京を主催する日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が東京都と共に手がけるファッションアワード「TOKYO FASHION AWARD 2023」に選ばれ、今年1月には他の3ブランドと共にパリに渡り、作品も発表した。
テーラードやニット、ドレスやジーンズなどのアイテムに、ブランドのシグネチャーとなるファイヤーモチーフをはじめ、緑や青の艶感のある繊細なフリンジ、無骨なプロテクターなどのディテールを落とし込んだ今シーズン。コレクションテーマには「Dreaming of me」を掲げた。これまで触れてこなかったというネガティブな感情にもあえて向き合い、「悪い夢の続きを、物語のようにコレクションとして作り上げた」(ビアンカさん)。
「この場では言えないようないろいろな出来事があり、ブランドができないかとも思った。デザイン画も描けなかった」と振り返り声を詰まらせたヤシゲさんは「その感情を活力に変えた」と力を込めた。ショー会場には3000本近くに上る白いカーネーションを飾り付け、ビアンカさんが想像する「天国のような一面の白いお花畑」を再現。規格外や売れ残りなどで廃棄される花を使い、フラワーロス削減や環境問題へのメッセージも込めた。
負の感情や悪夢などの要素を盛り込みながらも、赤や青、緑などのカラーパレットや、燃え上がるようなファイヤーパターン、ラメを織り交ぜた生地など、東京らしい華のあるルックが目を引いた。「学生の時から着ると心が弾む服を心がけて作っている。オリジナリティーがあって、10年たってもかっこいいもの。デザインのサステナブルにもこだわっている」(ヤシゲさん)と言い、「作っている自分や着ている人のテンションが上がるもの。着ることによって今日も頑張ろう、今日も楽しいと感じられる服」と、服作りへのこだわりや原点も明かした。
楽天ファッション・ウィーク東京は今月18日まで。