Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が3月12日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で群馬クレインサンダーズ(以下、群馬)と対戦した。
「予想通りタフな試合になった」(石井講祐選手)この日は、開始5秒で先制を許すなど立ち上がりからリードを許した。それでも、途中出場した渡辺竜之佑選手がシュートをブロックしたり、ミスが出ても「切り替えろ」と声を上げた関野剛平選手が強みであるアタックからレイアップを沈めたりチームを鼓舞した。
15-18で迎えた第2クオーター(Q)は、「チームでオープンの人を見つけてシュートにつながる攻撃が増えてきている」と話す石井選手や津屋一球(かずま)選手など3ポイント(P)シュートが高確率で決まった。しかし群馬もインサイドを中心に得点を重ね41-42と競る。
第3Qはチームで合計9回ファウルを宣告される苦しい状況となるが、小島元基選手が得点・アシスト・守備それぞれでチームを引っ張る。ベンチではベンドラメ礼生選手を中心に「ここで気持ちを切らしちゃ駄目」と声をかけ合ったという。失点の約半分がフリースローとなったが、浜中謙ヘッドコーチ(HC)は「フィジカルに行くことを大事にしている。ファウルを吹かれてソフトに行くと思うつぼ。選手がフィジカルに行き続け、我慢してついていったことの方が評価は高い」と選手をたたえた。
59-65で迎えた最終Q序盤でこの日初めて2桁リードを奪われると、浜中HCはタイムアウトを要求。「僕も含めて焦っている感じがあった。時間はあるし堅実に守ろう」と選手を送り出した。得点源ではない選手にシュートを打たせリバウンドを抑えると同時に、「オフィシャルタイムアウトまでに5点差」という目標を掲げたなか、津屋選手はパスも出せたが「攻めなきゃいけない時間帯で躊躇は絶対にしない」とシュートを選択し得点を挙げた。
一時同点に追い付くも失点などから再びリードを許す。それでも、「ディフェンスがついてくると思ったがこなかった」と空いた隙を見逃さず石井選手が3Pを決め、ジェームズ・マイケル・マカドゥ選手がインサイドで強さを見せ、残り24秒で2点差に詰め寄る。以降はわざとファウルをして逆転を狙ったが、フリースローを確率良く決められたほか、ケビン・ジョーンズ選手の3Pを狙ったセットプレーが「コミュニケーションミス」(浜中HC)もあり得点につなげられず、80-87で敗れた。
群馬の得点源であるトレイ・ジョーンズ選手を中心に守った津屋選手は、個人ファウルが4つとかさんだ前日の試合を「自分に悔しかった」と振り返りつつ、「ハードにやりすぎた所もあるが、『大丈夫』と言ってくれた寛大さも含めて勉強になった。あのような選手を止められないと需要が無い。自分の成長につながるマッチアップだった」と話した。津屋選手は24歳と若手だが、重要な選手を守ることが多い。「信頼して使ってくれていると思うが、自分の中では期待通りにできていない。礼生さんだけでなく、攻守で中心になりたい」とも。
声出し応援が解禁となったBリーグ。コロナ禍でプロになった津屋選手は、「ハイタッチの時に『シュート良かったよ』とか言ってもらい、次も頑張らないとと思った。(攻守の)コールもアナウンスが無くても始めてくれて、ブースター(ファン)の皆さんの応援が、お世辞なしで力になっている」と触れた。
浜中HCと群馬・水野宏太HCは、学年は被っていないが共に米ウエストバージニア大学でバスケ部の学生マネジャーを務めた。浜中HCは、水野HCが同大同部初の日本人マネジャーであることから「進学を決める前にお話をさせていただき、彼のおかげで所属できた経緯もあるので、コーチとして以前に人として尊敬している。自分としては楽しかった面も悔しい部分もあるが、今後も切磋琢磨していきたい」と話した。水野HCは「留学している身としては同じ大学出身のスタッフや選手は簡単に出てこない。昨日は浜中君に痛い所を突かれてしまい悔しい気持ちもあるが、(SR渋谷には)思い入れのある選手もいるのでこれからの彼らの頑張りも見ていきたい」とエールを送った。
次節は今月15日、三遠ネオフェニックスと対戦する。津屋選手は「古巣ではあるが、今、チームは後が無い状況。勝ち切って連勝に向けた一歩目として良いゲームにしたい」と話した。