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渋谷・桜丘エリア再開発、施設名は「Shibuya Sakura Stage」に 来夏まち開きへ

会見で「Shibuya Sakura Stage」の完成模型の前に立つ東急不動産の岡田正志社長

会見で「Shibuya Sakura Stage」の完成模型の前に立つ東急不動産の岡田正志社長

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 渋谷・桜丘エリアの再開発事業の複合施設名が「Shibuya Sakura Stage(渋谷サクラステージ)」に決まった。

メイン棟の一つとなる「SHIBUYAタワー」低層部(2023年2月9日撮影)

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 東急不動産や地権者らが参画する「渋谷駅桜丘口地区市街地再開発組合」が手がける同事業。100 年に一度ともいわれる規模で行われている渋谷駅周辺の再開発の中で、渋谷駅中心地区の都市基盤整備を完成させるための役割を担っており、桜丘地区の玄関口を整備することで渋谷の街全体の魅力向上を目指す。

 施設名は、桜丘の地名に加え、日本の花でもある桜を大切にする「日本人の心を大切にしたい」という思いや、渋谷で働く・遊ぶ・住む人それぞれが「主役」となり「自らの物語を発見・発信する舞台でありたい」という思いを込めて「Shibuya Sakura Stage」と命名した。

 場所は青果店や楽器店、小料理店など小規模な老舗も立ち並んでいた、渋谷駅南西部に広がる約2.6ヘクタールのエリア。地上39階・地下4階、延べ床面積約18万4700平方メートル、高さ約179メートルのA街区、地上30階・地下1階、延べ床面積約6万9100平方メートル、高さ約127メートルのB街区、地上4階、延べ床面積約820平方メートル、高さ約16メートルのC街区の3棟の施設群を整備する。

 各地区の名称と用途は、A街区「SHIBUYA サイド」=オフィス・店舗・駐車場など、B街区「SAKURAサイド」=住宅・オフィス・店舗・サービスアパートメント・駐車場など、C街区=教会など。オフィスや商業施設、住宅に加え、国際競争力の強化に資するグローバル対応のサービスアパートメント、国際医療施設、子育て支援施設なども導入することで、多様な世代が住み、訪れる、「活力のあるまち」を目指す。

 ビル名は、「SHIBUYA サイド」に建設中のA1棟が「SHIBUYAタワー」、A2棟が「セントラルビル」、「SAKURAサイド」に建設中のB棟が「SAKURAタワー」、B 先端棟は「SAKURA テラス」と、それぞれ命名。SHIBUYAタワーとセントラルビル、SAKURAタワーのオフィスフロアでは大規模なオフィス空間を提供。開業時から満室稼働の予定で、現時点で6割ほどが決まっており、IT系、クリエーティブコンテンツ系の企業が全体の約8割を占めているという。

 SHIBUYAタワーの地下2階~地上5階、SAKURAタワーの地下1階~地上5階に入る商業施設は、総店舗面積約1万5200平方メートル。地権者が所有する区画が多い低層部は商店街や路面店のようなまちづくりを計画。テナントで構成する区画は「最先端のトレンドやカルチャー」を創出し情報を発信。イベントスペースやデジタルサイネージ、「にぎわいSTAGE」や緑豊かな「はぐくみSTAGE」、ブルワリーなども整備する。

 渋谷駅中心地区で「唯一」となる集合住宅は、SAKURAタワー16階~30階(計1万2800平方メートル)に整備。名称は「ブランズ渋谷桜丘」(総戸数155戸)で、デザインコンセプトは「大樹」。屋上には太陽光パネルを設置し日中の共用部電灯分の電力の一部として太陽光発電の電力を利用するなど持続可能な暮らしを提案する「環境先進マンション」を掲げる。

 同じくSAKURAタワーの6階~16階に入るサービスアパートメント「ハイアットハウス東京渋谷」(計9000平方メートル)はハイアットグループの「ハイアットハウス」が都心初進出。中長期滞在者や外国人ビジネスパーソンなどニーズに合わせ126室用意する客室には、キッチンや洗濯乾燥機、共用部分にはラウンジやフィットネス、プールなどを完備。ロビーのラウンジ&バーでは滞在者同士の交流やコミュニケーションの場も設ける。

 同ビル5階には子育て支援施設「CTIS Kindergarten, Shibuya」が入る。南麻布でインターナショナルスクールを運営するCTIS が運営。2~5歳の就学前の児童を対象に英語・中国語などにも対応し、オフィスワーカーや中長期滞在のビジネス層、周辺居住者の子育てを支援する。受け入れ人数は最大124人を想定。

 そのほか、SHIBUYAタワー38階には企業支援施設を整備。同ビル7階には、健康管理施設や多言語対応の診療施設などが入りパーソナルヘルスケアや健康管理サポートなどを行う国際医療施設が入る。

 災害時の情報発信などによる安全安心な地区も形成。帰宅困難者対策を講じ、災害に強いまちづくりを推進する。一時滞在可能な約4900平方メートルの屋内空間を確保し、災害時は2900人を収容。200平方メートルの防災備蓄庫に2、3日分の食料などを備蓄。ヒートアイランド対策として、地上や屋上、壁面などを活用した緑化も推進。緑化面積はダブルテニスコート約23面分(計約6000平方メートル)に上り、太陽光発電など自然エネルギーなどを利用することで環境負荷低減にも取り組む。

 併せて、地区玄関口のランドマークとして、駅と街、地下と地上を簡便に結ぶ歩行者動線を整備する。同エリアはこれまで国道246 号(以下246)やJR線によって東西・南北方向共に分断。渋谷は谷地形で坂が多く、高低差が大きい地区であることから、駅と周辺地区をつなぐ歩行者ネットワークも脆弱(ぜいじゃく)でバリアフリーの問題もあった。

 再開発ではJR線の駅舎の整備にも協力。JR渋谷駅の新改札口からのアプローチとなる「北自由通路(仮称)」や246 を横断する渋谷駅西口歩道橋デッキ、渋谷ストリーム(渋谷3)3階からJR線の頭上を東西方向に横断する自由通路など、東西方向、南北方向の回遊動線を構築。JR山手線線路沿いのA街区とB・C街区の間には新たに都市計画道路「補助第18号線」(幅員約15メートル、全長約200メートル)を整備し、上空2カ所には18号線を横断する歩行者デッキ(横断橋)を架け、丘陵地・桜丘と駅との高低差を解消。周辺地区と連携する縦軸の動線「アーバン・コア」も整備し、地下と地上を結ぶ。A街区は渋谷駅西口歩道橋から続くデッキも開通。駅からのアクセスや代官山・恵比寿方面との回遊性向上も見込む。

 施設は昨年9月に全棟が上棟。今年11月に完工予定。地権者の区画などがあるため、引き渡し次第、順次開業する。現時点ではサービスアパートメントが2024年2月、子育て支援施設が同年4月を予定し、7月にもまち開きイベントを行う予定。C棟は教会として2020年5月に運用を開始している。

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