特別展「-関東大震災から100年-同潤会アパートと渋谷」が1月21日、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館(渋谷区東4)で始まった。
2023年は1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災から100年目に当たる。同潤会アパートは、同震災支援のため寄せられた義損金を元に内務省が設立した財団法人同潤会が建設した鉄筋コンクリート造の共同住宅。
電気・ガスはもちろん、ダストシュート、水洗トイレなど、当時の最先端技術を備える高級アパートで、弁護士や教師、新聞記者など高収入、インテリな人たちが暮らしていた。渋谷区内には、「代官山(当時は渋谷)アパート(現・代官山アドレス)」(1927~1996)、「青山アパ―ト(現・表参道ヒルズ)」(1926~2003)が建てられた。
現在のアパートは画一的な作りが多いなか、代官山は単身者向け、世帯向けなどさまざまなスタイルの住戸で構成していた代官山アパート。青山アパートは明治神宮の参道沿いだったこともあり、参道から距離を取ったり樹木を植えたり、洗濯物が見えないように屋上の外壁を高くするなどし、銭湯ではなく、同潤会の中で「唯一」各階に共用の風呂があったという。
同展では、両アパートの外観・内観写真のほか、細かい金具や扉、階段の親柱、食堂で使われていたレジスターなど。畳が主流だった当時、洋風の生活も見越した同アパートはコルクの上にござを敷いた床になっていた。そのコルクも展示。建設途中だった「青山女学院」跡地に建てられた代官山アパート関連の展示物として、青山女学院の建設に使われたレンガも並ぶ。関東大震災による東京の被災状況を示した地図や、倒壊している青山学院大学の写真なども紹介する。建築の専門用語も多いなか、「分かりやすいように」キャプションや解説などを付けたという。
同館2階には代官山アパートの台所と1人部屋を再現した展示もあることから、併せて観賞を勧める。
開館時間は11時~17時(土曜は9時~)。入館料は、一般=100円、小学生=50円ほか。月曜休館(祝日の場合は次の平日が休み)。3月26日まで。