1月6日終電後から9日初電にかけて行われた「山手線外回り線路切換工事」を経て、JR山手線・渋谷駅の内・外回りの2つのホームを同一化した「島式」新ホームの供用が9日の初電から始まった。
乗り換えの利便性向上や駅構内の混雑緩和、バリアフリーなどを目的とする同駅の改良工事は2015(平成27)年9月に着工。全5段階で計画する同工事は、2018(平成30)年5月、2020年5月の2回の工事で、埼京線・湘南新宿ラインのホームを移設し山手線ホームと並列化。2021年10月の3段階目の工事で、内回り山手線を東側に横移動しホームを拡幅。さらに4段階目となる今回は、山手線外回りを西側に約2.3メートル横移動し、内・外回りの2つのホームを1つの同一ホーム(島式)にする切り替え工事が行われた。ホームの幅員は最大16メートルに拡大し、乗降時の利便性と走行時の安全性が高まることが期待される。
工事に合わせてJR山手線は7日初電から8日終電まで、外回りは大崎~池袋の区間を終日運休。総工事時間は約53時間30分に及び、関わった作業員の総数は約4000人に上る。JR東日本の広報担当者は「工事は予定通り無事に終えた」といい、9日初電から混乱なく通常通り運行を始めたという。
内・外回りホームの同一化に伴い、1940(昭和15)年7月から利用されてきた「外回りホーム」は廃止。旧外回りホームの駅名標(えきめいひょう)の下には、渋谷駅のキャラクター「しぶやぎ」と共に「1940.7~2023.1 山手線外回りホーム 82年間ありがとう!」のメッセージを掲出し感謝の思いを込めた。
鉄道ファンの30代男性は「渋谷で遊んだ後、反対方向に帰る友人とも同じホームで最後まで電車を待つことができるのはうれしい」と島式ホームを歓迎する。一方で「ハチ公改札から外回りホームへ階段で上がった時、全面窓ガラスがあって渋谷の街をそこから見るのが個人的に好きだった。島式になったことで、それが見られなくなるのは少し残念」とも。
旧外回りホームが廃止に伴い、渋谷スクランブルスクエア3階に接続する「中央改札」のコンコースの一部使用も廃止され、3連休明けの10日以降、通勤や通学等の乗降客で中央改札付近の混雑が予想される。JR東日本では混雑を避けるためホーム内に誘導員を配置し、1階の「南改札」「ハチ公改札」の利用を促す。さらに15日には、3階の埼京線ホーム側に中央改札コンコース、エスカレーターと階段が新設され利用できるようになる。
最終ステップとなる5段階目の工事は、山手線の線路とホームの高さを上げる作業となり工事時期は2023年度を予定。ホームドアの設置は、渋谷駅再開発事業が全て完了した後、2031年度ごろを見込むという。