ホームなどの駅改良工事が進められているJR渋谷駅で1月6日終電後~9日初電にかけて、山手線外回りの線路切換工事が行われている。
JR東日本は、渋谷駅周辺で進む再開発に合わせ、乗り換えの利便性向上や駅構内の混雑緩和、バリアフリーなどを目的に、2015(平成27)年から同駅の改良工事を進めている。今回は工事工程全5段階のうち4段回目となる。
今回の工事では、外回り線路を西側に最大約2.3メートル移動すると同時に、内・外回りのホームを1面2線(島式)化する。今月6日まで使われていた外回りホームは撤去し、現在の内回りホームは最大約3.2メートル拡幅する。
今回の工事に向けて昨年12月に移動させる線路周辺の砂利類(バラスト)を袋詰めし、今月4日に外回りホームの屋根を撤去。6日の終電後にまず、架線の移転(最大約2.7メートル)作業を始めた。その後、外回りホームの撤去やレールを載せる仮の工事桁の移動、線路の移動とこう上(高さを上げる作業)を同時進行で進め、レールもつなぎ直す。翌8日に現在の内回りホームの拡幅、ホームに仮の上家設置作業を予定する。工事作業員の総数は3940人で、同時に約800人が工事に関わる。
7日午前現在、「順調に進んでいる」と進捗(しんちょく)状況を明かした東日本旅客鉄道の建設工事部マネジャーの芹澤卓哉さん。今回の工程は「作業量が多く難易度も高い工事になる」こともあり、事前にヤード(資材などを置く場所)に模擬設備を作りリハーサルを行ってきたと言う。「これまで準備してきた計画にのっとって、安全に作業を進め無事に月曜日の初電を迎えたい」と力を込める。「それぞれの作業で難しさはある」なか、7日夜に予定する、旧大山街道(渋谷駅前交差点~宮益坂下交差点)上にかかる宮益架道橋の鉄桁を1.0度回転させる作業を今回の「山場」とし、「注意して進めたい」とも。
工事後は内・外回りのホームが同じになり、今月15日には渋谷スクランブルスクエア東棟に隣接する3階の中央改札と山手線ホームをつなぐ通路・階段・エスカレーター(新設)も供用が始まる予定。芹澤さんは「効率的・合理的に使ってもらえるのでは」と期待を込める。
7日に報道陣に公開された現場では、数十人の作業員が一斉に声をかけてセットになっているレールと枕木をバールを使いながら人力で少しずつ横へ移動させる作業や、外回りホーム撤去と工事桁移動それぞれを担当する作業員が小型の機械や人力で作業する様子が見られた。
工事に合わせてJR山手線は今月7日初電~同8日終電、外回りは大崎~池袋の区間を終日運休し、池袋~大崎間(大崎で東京方面に折り返し)は本数を大幅に減らして運転。内回りは池袋~大崎間で本数を大幅に減らし、一部池袋で上野方面に折り返し運転をしている。同社は埼京線・湘南新宿ラインの線路を使って、恵比寿・渋谷に停車する大崎~新宿間の臨時列車も運転している。通常運転は9日初電に再開予定。
芹澤さんは「お客さまには、普段と違うルートでご利用いただきご不便をおかけすることになるが、安全に工事を進めたいのでご理解・ご協力いただければ」と呼びかける。
最終段階となる次回は、山手線の線路とホームの高さを上げる作業を行う予定で、詳細な時期は未定だが、来年度内に取りかかる見込み。その後、微調整を行い切り替え工事が終了となる。